11/16
無反応でも話す

知り合いの先生から大学での講義を頼まれることは多く、無理の無い範囲で引き受けます。
今週は、2つの大学で講義をやりました。

今の大学では、学生はパソコンやタブレットを普通に使用しながら授業を受けます。
今週、お伺いした一つの大学では、
登録されている講義が行われている教室で、ログインすることで出席確認となるシステムが導入されているとのことでした。
当然、大学内のシステムを用いて講義の資料が閲覧でき、
それを見ながら受講するわけですから、
インターネットで遊んでいても、こちらからは識別できません。

従いまして、なかなか対話形式には持ち込めません。
「これ大事」と伝えると、その反応として、パチパチパチとキーボードを叩く音(パソコン上でメモを取る音)が響く状態です。
この音に、「一応、聴いてるんや」って安心する私です。

質問や感想等の反応も、その場では殆どありません。
でも、学内のシステムに書き込まれて私のところに届きます。
これを読んで、「一応、聴いてはいるようだ」って再び安心する私です。

話を聞きたい方が集まる学術集会、健康に興味がある方、工場見学に来られた方等を相手に、ライブ感のある中で、プレゼン技術を鍛えて来た私としましては、この非対話形式の講義は結構辛く、一方で、反応が弱いので物足りなくもあります。

でも、1コマ90分間もあるわけですから、無反応であろうが、
ポリシーとして、お構いなしにウンコネタと相撲ネタはぶっ込みます。

昨日、これまでは全敗(完全無反応)だった相撲ネタに少し反応がありました!
「稀勢の里4連敗で騒がしくなっているけど、4敗目の相手がこの栃煌山」
結構大きく扱われていたので、ニュースで取り組み映像でも見たのでしょうか?
明らかに、「へー、そうなんだ」って反応がありました。
好調オーザン関に感謝です!

10/31
パニックでした

出勤中、中途半端に渋滞している道路をノロノロと運転している時である。
少々、便意(もちろん大)が高まり、どこまで耐えられるか(どこで排泄するか)を考えていた。
いつものラジオ番組が、曜日毎の企画を流す時間帯に入った。
しかし、何故か、恒例の水曜日の企画がなかった。
「ん? 今日は水曜じゃなかったっけ?」

私のウンコ色の脳ミソが混乱し始めた。
最近、色々な案件が固まって非常に忙しくて、寝不足中。
しかも、今週は殆ど外出がないので、曜日感覚があまりない。
一体、今日は何曜日なのか、わかっているようでわかっていない。

仕方なく、私は今週を振り返ってみた。
月曜日は、私があの原稿を送ったよな?
それの内容確認の連絡がきて修正したのは次の日やったはず、つまり火曜日。
それは、昨日の気がするので、やっぱり今日は水曜のような気がするが...
でも、何故、ラジオが違う?
水曜日、丸一日がすっぽり記憶から抜けてるのか?
あの電話をしたのは何曜日やった?
昨日は何をした?

いや、待てよ。
ハロウィンで渋谷がどうのこうのってさっきニュースをやってたよな?
ハロウィンは10月末?
ニュースが流れたってことは、もう終わって、今日は11/1 ????
混乱してきた。10月って30まで、31まで??? 
今週の唯一の外出は11/1だったので、もしかしたら今日????
えっ、ということは、大学で講義を頼まれていた日?
何っ? ヤバいぞ、えっ、今日はいつ???

落ち着けー(心臓バクバク、便意喪失)。

急遽入ったコンビニで今日は11/1ではない事を確認して、無事会社まで来た。
それでも不安は収まらず、すぐに部下に、今日は何曜日かを確認した。
確認できて、落ち着きを取り戻した。
ただ、事の発端であるラジオ番組がイレギュラーなことをしたことだけは未解決である。

10/26
論文が掲載されました(Gut Microbes)

我々とヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社とで実施した共同研究の成果が、Gut Microbesに掲載されました!
投稿し始めて、2-3年位かかりましたかね。

掲載論文:https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/19490976.2018.1494466
日本語リリース:https://www.lkm512.com/contents/20181025.pdf

専門性が高く、説明するのはややこしいですが、
我々が注目している腸内細菌が作り出す善玉物質ポリアミンが、
アルギニンからどんな経路で作られるのかを、
特殊なアルギニンを使って、追跡した実験結果です。

特殊なアルギニンというのは、
アルギニンを構成している炭素と窒素を重くして目印をつけたものです。
当然、それなりに高額な研究試薬です。
(栄養ドリンクに入っているアルギニンの1万倍とか10万倍とか・・・)
この自然界に存在しない特殊アルギニンをラットの腸内に注入し、
腸内細菌により、どんな化合物に変換されているのかを調べました。
重いアルギニンから作られるのは、当然、自然界には存在しない重いポリアミンなのです。
自然界に存在しない重さなので、質量分析計でしっかりと正確に追跡できるのです。

その結果、
アルギニンが色々な腸内細菌により、様々な化合物に変換され、
最終的にポリアミン(プトレッシン)が生成されることが再確認され、
また逆に、
中間化合物から逆の経路でアルギニンが再合成されている事実もみつかりました。

おなかの中で腸内細菌に利用され、一端消失した物質が、
別の腸内細菌により、その分解物から再び生合成されて復活しているということです。
びっくりしました。

私がこの結果で感じたことは、
各腸内細菌の集合体である腸内細菌叢の物質変換(栄養の利用と排出)は、
我々がわかったつもりで眺めている代謝マップと全く別物であるということです。

腸内細菌の代謝産物が絡む機能性食品等の作用機序を論じるなら、
今回我々が実施したような手法を用いて、丁寧に調べるしかありません。
そうすることで、本当の意味での「科学的根拠を有する機能性食品」に繋がると考えます。

10/16
古い友人

研究をしていく上で、大学の研究室での経験は極めて大事なことである。
そこで学んだスキルはもちろん、姿勢や習慣も、その後の研究生活に多大な影響を与える。
今の大学事情は十分には把握していないが、
20年前の理系の研究室は、多くの大学院生は寝る時以外は殆ど研究室で過ごす生活をしていた。
土日も殆ど関係ない(とはいえ、土日は先生が来ないのでリラックス・モードではあるが)。
従って、同じ研究室のメンバーは、「同じ釜の飯を食った仲」という表現が最適である。

私が修士課程の時の2人の同期生は、特にそういう関係である。
3人で代わる代わる先生に怒られていた記憶は今でも鮮明に残っている。
もちろん、3人まとめて叱られていた時も多い。

そんなメンバーの一人が、インドネシアのスラウェシ島で大学教授をしている。
インドネシアから来た留学生であった。

数週間前、私にとっての第一報は、運転中のラジオから届いた。
聞き慣れた島の名前なので、乾いた土に水が染み込むように耳に入って来た。
スラウェシ島で大地震が起き、巨大津波が街を破壊したニュースである。

友人にメールを送った。
しかし、返事は来ない。
次の日も、次の日も。
そもそも、発展途上の島である。
通信手段は普段から悪いはずと脳内で片付けて、仕事に集中していた。

そんな状況下、昨日、一通のメールが...。
無事だった!
震源地から離れていて、直接的な被害は受けなかったようである。
ただ、治安はかなり悪いらしい。
刑務所から1000人規模の収容者が脱走もしているようである。

とりあえず、信頼できるところに募金をしてみようと思う。
彼個人の生活より、島全体の治安やライフラインの回復が重要なようなので。

09/27
難しいね

9/27朝

何だか寒い。
天気予報によると11月上旬並みの気温だそうだ。
さて、今日は東京都心部へ外出
9月のビジネス服装は夏仕様(半袖シャツのみ)と決めている私であるが、
信念に反してジャケットを着るか?
難しい

3日間ほど雨が降り続き、畑に行けない日が続いている。
気が付けば、車の中にはレタスの苗が入ったまま。
ヨトウムシの被害を受けたレタスの補充用である。
タイミングを誤った。
難しい

もし、仕事関係で、やることリストを作ったら、20項目ほどあるだろう。
集中すれば数時間で終わるものが18項目
月単位で取り組む熟考すべきヘビーなものが2項目
この2項目から逃げれば、その他18項目は処理できるが、
敢えて、18項目はリストから出して、ヘビーな2項目に真正面からぶつかると決めている。
そうしなければ完成度の高い、ハイレベルな仕事はできないからだ。
それにしても、難しい。

09/14
学会関連報告(2018年9月)

私自身が壇上で話しているわけではないが、
私が思いっ切り絡んでいる共同研究での学会発表が、
9月に入り続いたので報告しておきます。

①第73回 日本体力医学会(福井、9/7-9)
「腸内水素ガス産生乳飲料の摂取が高強度運動後の酸化ストレス応答に及ぼす影響」

早稲田大学スポーツ科学学術院、筑波大学大学院人間総合科学研究科と協同乳業の共同発表です。
「ミルクde水素」を学術的に表現すると「腸内水素ガス産生乳飲料」となります(笑)
「ミルクde水素」が、高強度運動(スポーツ・トレーニングのような激しい運動)後の酸化ストレス軽減に有効性を示すデータが出始めました!
二重盲検ランダム化クロスオーバー試験でやっています。


②Royal Society of Chemistry-Tokyo International Conference 2018(幕張ですが国際学会. 幕張ですが東京国際会議、9/6-7)
「Simultaneous analysis of 42 Chiral amino acids produced by intestinal microbiota in biological samples by high-throughput LC-MS/MS」

島津製作所、大阪大学大学院工学研究科と協同乳業の共同発表です。
大阪大学大学院工学研究科が開発したD-アミノ酸の一斉分析方法を、島津製作所と協同乳業がウンコ解析への応用に成功し、腸内細菌が色々なD-アミノ酸を作っていたことを明らかにしました。
なんと、Best Poster Award(ベスト・ポスター賞)獲得!


学会発表なので、これ以上詳細には解説しません。
論文になったら報告しますわ。
たぶん・・・

09/06
酢を飲んでも効きません

先日、Science Advancesに掲載された論文に絡んで、
結構な頻度で質問されることがあるので、ちょいと解説する。

この論文
(原文)http://advances.sciencemag.org/content/4/6/eaat0062
(日本語解説リリース)https://www.lkm512.com/contents/20180628.pdf

様々な生理機能を持つポリアミンを腸内細菌に継続的に作らせることで身体に供給し、
健康寿命を伸ばす技術とそれを応用した食品の開発を目指している一連の研究で、
腸内細菌がどうやってポリアミン(プトレッシン:ポリアミンの一種)を作っているのかを解明した論文である。

腸内細菌が食餌由来のアルギニンからプトレッシンを作ることは、
既に、我々が発見して発表済みであるが、
どの菌が?
どういう生合成経路で?
というのが長年不明であった。
「アルギニンを食べたらプトレッシンが増えるからいいんだよ!」
というのでは、その辺に氾濫している食品と同じで、
私が目指している高貴な科学的根拠を持った食品とはいえない。

それで5年間程、そのメカニズム解明をかなり頑張った。

研究の結果、大きく3つのグループの菌が関与していることがわかった。
①酸を作る菌のグループ
②その酸により環境中が酸性化したら、「ヤバい」と感じて(酸が細菌増殖抑制に効くのはご存知だろう。おにぎりに梅干し作戦はその代表である)、その酸を菌体内から除去するためのシステムをアルギニンを使って作動させて生き残りを図る菌のグループ
③酸除去システムを動かすとゴミが出るので、②の菌達は菌体外に廃棄するのだが、そのゴミ(副産物)を利用してエネルギーを作ろうとする菌のグループ(彼らにとってはゴミではなく、いわば我々にとってのブドウ糖にようなエネルギー源である)
この③のグループがエネルギーを作った後のゴミ(副産物)がプトレッシンで、彼らにとっては不要なので菌体外に捨てるのであるが、我々の健康には役立つのである。

この一連の異菌種の別々の生命活動が合わさった経路を、
私は格好よく「ハイブリッド・ポリアミン生合成経路」と名付けた。

このハイブリッド・ポリアミン生合成経路は、上に示した通り、
『酸』による刺激がトリガー(引き金)となり作動する。

その証拠に、ウンコを酸性液に浸けて培養すると、プトレッシンがドクドク合成される。
(このデータも論文に載せている)

さて、ここからが本題

講演後、これを理解した人は、
「酢を飲めばいいってことですよね?」
と言って来る。
半数以上は勝ち誇ったように指摘して来る。
これは、私がビフィズス菌摂取等を推奨するのを逆手にとって、
少々いじわるな質問をしてやろうという根性の持ち主がやる行為である。

答えは、「No」
酢は腸内細菌がいる小腸下部から大腸まで、その酸度(pH)のままで届かない。
よく考えて頂きたい。中学生位で習ったと思う。
酢に勝るであろう強烈な酸が、胃の中にはある。
胃酸である。
二日酔いで胃酸が逆流(ゲロ)して喉がただれた経験はないだろうか? 
しかし、胃酸を含む食べ物は、胃から十二指腸に移行する段階で、膵液(アルカリ性)により中和される。そうでないと十二指腸以下の消化管が酸でただれる。
したがって、口から入った酢などの酸性物質が大腸までその酸性度で届くことはあり得ないのである。

ハイブリッド・ポリアミン生合成経路を動かすためには、
ビフィズス菌等に、腸管内で酸を作ってもらうしかない。
興味深いのは、pHが中性7から6.5~6程度に下がるだけで十分な点である。
緩~い酸性化で十分であるという点が、
この生合成経路がビフィズス菌摂取で実際におなかの中で作動する現実性を証明している。

但し、どのビフィズス菌でもよいわけではない(LKM512はポリアミン産生を誘導する)。
その理由は、気分が乗ったらまた書くとする。
もちろん、論文には書いてあるので、知りたい方は読んで頂きたい。

08/29
タイトルでインパクト(?)

昨日、理研・辨野義己先生主催のフォーラムがありまして、
講演して欲しいと頼まれたので話してきた。

フォーラム後の懇親会の後、こんな本を頂いた。

20180829.png

「大便革命」だそうだ・・・

このタイトルに、センスがあるのかないのか、
私にはさっぱりわからない。

もの凄い数の本が出版される中、
一般向けの類似の新書が氾濫している中、
タイトルでインパクトを与えねばならないのだろう。

ただ、過去にも、
「大便通」やら「べんのお便り」やら、
方向性が類似したタイトルの本をもらったな~
と少しノスタルジックな気持ちに陥った。

08/07
楽しんでますか?

今朝、運転中に聴いていたラジオから名言の紹介があった。

「天才は努力する者に勝てない。努力する者は楽しむ者に勝てない」

聞いたことがあるような、ないような言葉であるが、
何だか、強烈に心に響いた。


研究においては、同じような課題を与えられても、
楽しそうに取り組んでいる人は、
辛い顔をして取り組んでいる人より、
良い成果を出しているような気がする。

少なくとも、これまでの経験の中で、
楽しんでいない者から、
創造的なアイデアを聞いたことはない。


私自身、それなりに楽しんでいる方だと思うが、
この名言を意識して、
更に1段階、「オレ、楽しんでるぜ!」レベルを上げようと思う。
無敵になるために・・・

ただ、「ウンコを使った研究は楽しいぜっ!」
をイキイキ表現し過ぎると、
変人・変態扱いされるリスクが高いため、気を付けねばならない。

07/27
不思議なネットワーク

先日のScience Advancesに採択された論文は、
京都大学さんでも研究成果としてリリース発表がされております。

コチラをクリック

ふと読んでみますと、論文内容の紹介と共に、
「研究者からのコメント」というコーナーがあり、
共著者の東樹宏和先生のコメントがありました。

「この研究プロジェクトには、人と人の不思議なネットワークを通じて出会いました。」
という一文から始まっています。

そうです。
本研究のスタート時からチームを形成していたわけでなく、
研究後半で、同じく共著者の栗原新先生(石川県立大)が、
たまたま学会で東樹先生の講演を聴講したのがきっかけでした。
大きな学会(同時並行で多くのシンポジウムが開催されている)でしたから、
もし、栗原先生が偶然聴いていなかったら、
出会っておらず、論文内容も一部は違ったものになっていたはずです。
京大まで押しかけて、少々強引に解析をお願いしたにも関わらず、
ハーブティーをご馳走になりながら、やりたい事を説明し、
興味を持って頂き、快諾して頂いたのを覚えています。

東樹先生は生態系を構成している生物間のネットワークの研究が専門で、
それに絡めたであろうこのコメントはさすがです!

同じく、この研究成果も、腸内細菌同士の新規ネットワークの発見でもあります。
但し、このネットワークには、いわゆる共生と定義付けされるような必然性あるいは密接性はありません。
腸内常在菌が、個々で自分の生存活動を普通に営んでいるだけなのですが、
結果的には、棲息場所を提供しているヒトにとって有用なものを作り出しているという
不思議なネットワークなのです。

「不思議なネットワーク」で出会った研究者が、
腸内の「不思議なネットワーク」を発見したということです。

           
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