08/29
古代のチーズ「蘇」 つづき

先週紹介した古代のチーズ「蘇」についてもう少し書こうと思う。

蘇の最初の記述は、大宝律令(忘れた方は日本史を復習して下さい)の中の職員会の職務分担の中に記述されている。
薬物を扱う典薬寮の中に薬物以外に牛乳をしぼる乳戸(酪農家)があり、乳とともに、酥(そ)と呼ばれる(コンデンスミルク、チーズ、ヨーグルト風の)乳製品が製造されていたとの記録があるらしい。
(「乳の科学」上野川修一編 朝倉書店,1996 より)

「酥」と「蘇」の違いはわからない。
非常用漢字と常用漢字の違いかもしれない。
並列して書かれていることが多い。

先日購入した蘇には製造方法が記載されていた。
しぼりたての生乳をこげつかさないように7~8時間火にかけ水分を飛ばすらしい。
そうすると赤みを帯びたベージュ色の固まりができ、これを型ワクに入れる。
ただ、それだけ。
記述されていないが、おそらくこの後、冷暗所で暫く放置していると思われる。

従って、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令においては
「濃縮乳」という規格になる。

それにしても、単純であるが面倒な製法である。

牛乳は産生するウシや季節により差があり、
また、文献によっても若干異なるが、
一般的には全固形分含量は12~13%といえるであろう。
残りの87~88%は水分ということになる。
この水分を飛ばすと、計算上、1Lの牛乳から120g程度の蘇ができる。

さて、夏休みの自由研究が終わっていないお子様には、
1日でできる「古代のチーズ蘇づくり」はお薦めである。
特別な道具も要らない。
歴史と科学の合わせ技の自由研究となる。

しかも、濃厚で乳糖がほんのり甘く、
皆さんが想像しているものより、きっと美味しいはずである。

08/24
2016年度版 野菜作ってます9

台風9号にやられました(悲)

ナスが傷だらけになる、
トマトが落ちる、
という位の被害は想定しておりましたが、次元が違いました。

畑の風景が変わっていました。
畑全体が沼のようになっており、歩くのも一苦労。
なんとか近づいてみて唖然、茫然。

見た感じ、昨日の昼頃は畑自体が濁流と化していたと想像できます。

濁流に飲み込まれた寒冷紗。中のキャベツの苗はもちろん行方不明。

160824a.JPG

奥の寒冷紗には謎の流木が...。どこから来た???
土壌の段差が激しさを物語っています。

支柱ごとなぎ倒されているお隣さんのトマトとキュウリ。

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悲惨な状態です。

濁流に飲み込まれたニンジン

160824c.JPG

苦労して発芽させたのに...。

終盤を迎えていた夏野菜はともかく、
植えつけを始めていた秋冬野菜の被害が痛いです。

これが自然相手の厳しさです。

08/22
古代のチーズ「蘇」

蘇をご存知であろうか?
"そ"と読む。

日本最古のチーズといわれているものである。
飛鳥時代に身分の高い人々が口にしていた貴重な食物とされている。
この時代、タンパク質不足であったであろうから、
滋養強壮食品としても効果が抜群であったと思われる。

これらの方々も間違いなく口にしていた事であろう。
推古天皇、聖徳太子
曽我馬子、曽我蝦夷、曽我入鹿
中大兄皇子(天智天皇)、中臣鎌足・・・

蘇に関しては、日本史で習った人、
或いは食品分野から学んだ人もいるであろう。
とはいえ、存在を知っていたとしても、なかなか口にする機会はない。

先日、実家に帰った時に久しぶりに明日香(あすか)に行った。
ややこしいが、場所は「明日香(村)」、
ここに都があった時代を「飛鳥」時代と称する。

飛鳥寺の脇の売店で復元された「蘇」が静かに販売されていた。
原材料は100%牛乳。
一切添加物が入っていないため、
過剰な甘さやフレーバー慣れしている現代日本人にとっては物足りない風味であり、
誰もが喜ぶとは思えなかったが、
職場の土産として購入を決断した。

160822.JPG

少々香ばしく、ほんのり甘く、まさに凝縮された牛乳で、
外側組織のクッキーっぽい食感もなかなかよく、
意外と評判が良かった。

奈良県出身で、
学生時代に乳製品製造学を専攻し、
現在乳業メーカーの研究所で働いている私。
よく考えると、私を待っていたかのような土産である。

大量生産できないため殆ど出回っていないと思われるが、
もし飛鳥に行く機会があれば、是非購入して頂きたい。
食べながら、食と歴史と文化を語り合うことができる、お薦めの逸品である。

以上

勝手に奈良県観光大使より

08/17
今週はバリバリ忙しいのでブログは休みです

タイトルの通り、ブログは休みます。
色々ネタはありますが、休みます。

オリンピックも殆ど見ていません。
「他人のメダルより自分の研究! 俺だって世界と戦っている!」
とテレビ中継の誘惑に襲われた時は思っています。


ブログ連載義務から解放してくれた西野君に感謝です。
はい、もちろん嫌味です。

参考ブログ
 
来週からボチボチ再開予定です。
では。

08/10
夏の春野菜で付加価値を感じる 

4月後半から5月にかけて"周囲に配布する程できる"葉物野菜。
特に小松菜・水菜は容赦なく巨大化するので毎年余る。

そんな葉物野菜が畑から姿を消して早2ヶ月。
畑は典型的な夏野菜である
オクラ、キュウリ、ナス、トマト、ピーマン、シシトウたちに入れ替わり、
小松菜や水菜を懐かしく思い少々食べたくなる。
秋にも栽培するが、収穫できるのは2ヶ月程先。
食べたくなっても、あれだけ余っていた反動なのか、
スーパーではこれらの野菜を買うのは少々勿体なく感じ、
なかなか手が伸びない。

これを毎年繰り返すので、夏場にプランターでの栽培に挑戦している。
真夏の関東地方で小松菜や水菜を育てるのはなかなか難しい。
害虫の影響も春先とは比べると大きい。
暑過ぎて病気になりやすい。
炎天下のプランターでは水が蒸発して枯れてしまうことも多々ある。
事実、昨年は失敗した。

しかし今年は工夫して、ほぼ成功した。

160810.JPG

朝収穫して味噌汁にしてみた。
久しぶりの小松菜の味。
美味かった!

同じ私が育てた小松菜・水菜であるが、
8月の小松菜・水菜は、5月のものと異なり、圧倒的に価値がある。

08/08
危険な場所で

猛暑である。
室内の仕事であることを強くありがたいと思うのは、
猛暑の時と台風の時である。

猛暑を一段とパワーアップさせる要因にセミの鳴き声があるが、
ここ東京都西多摩郡日の出町の協同乳業㈱の敷地内では、
セミ達の羽化が連夜繰り返されている。
主としてアブラゼミとミンミンゼミ。

凄く不安定な場所で羽化したセミがいたようである。

160808.JPG

不安定甚だしい植物のツルの先である。
ここに足を固定して、のけ反って羽化するわけであるから、
なかなか勇気が必要であったはずである。
羽化中、少しの風でも相当揺れたに違いない。

とはいえ、本当に勇気があったか否かは怪しい。
普通に考えれば、生涯最大のイベントをこんな場所で行うのは無謀な挑戦である。
おそらく、このセミは、この先端に着いて「ヤバッ」と思った時、時すでに遅し。
方向転換ができずに後戻りできなかったのであろう。
その結果、仕方なく羽化を決行したと考えるのが自然である。

確実に言えることは、
追い詰められ後戻りできない最悪の環境下でも、
やるべきことをやり切ったという事実。

見習うべき人は沢山いるはずだ。

08/04
野菜の贈り物

私は社外の方々と接する機会が多い。
何かと無理な頼み事をすることも多い。

そんな時は、朝穫り野菜の詰め合わせをちょいと差し上げることにしている。

余程の野菜嫌いなら無用の長物であるが、
旬で新鮮且つ無農薬の野菜をもらって嫌な顔をする人は殆どいない。

もちろん、プレゼントしたからといって、
頼みごとがすんなり通るわけではない。
でも、確実に笑顔にはなる。

昨日は、これを渡した。
車で来所されたので、沢山プレゼントした。

160804.jpg

キュウリ14本
シシトウ 23本
オクラ 15本
ナス 2本
長ナス 2本
トマト(完熟):1個
ミニトマト:5個
全て収穫30分程度で冷蔵保存し、渡すときは保冷材付きで、
鮮度を完璧に保つようこだわる。
綺麗に箱に詰めると、それなりのギフトに変身する。
末端価格にして...? 
この時期これらを買うことがないのでわからない。
無農薬という付加価値も付いている。

只今最盛期のため、これらは自宅では食べ切れず、
どっちみち周囲に配布する野菜達である。
有効に使う方が良い。

とはいえ、会社の仕事で使うのは少々複雑な気分で、
たまに明確な効果を生んだ時は、こんなことを思う時もある。

「野菜手当くれ」

08/02
便秘対策には食事リズムが大事です

タイトルのように改めて再認識した次第でございます。

久しぶりに実験で断食した。
このブログの読者ならご存じであろうが、
今実施している研究で、我々は時々断食せねばならない時がある。
食事成分の有効性を正確に測定するためである。

我々はこれを断食とは表現せず、絶食試験と呼んでいる。
断食は素人が行う行為、
絶食はプロが行う行為
これは、私個人の識別なので、真剣に捉えないで頂きたい。

先週、約半年ぶりに実施した。
経験豊富なため、きつくなるタイミング等を熟知しているので、
心にはゆとりがあった。
しかし、対策法はない。
大事なのは日常業務をしながら、
無意識で菓子類や飲料を摂取しないようにだけ気を付けて、
淡々と過ごすことである。

しかし、副作用はあった。
前回同様、いや、毎回発症する現象である。
That's Benpi
便秘である。
一応書いておくが、正確には英語ではconstipationという。

排便を促す食事刺激の欠如が原因と考えられる。
たった1日である。
しかし、通常排出される便が24時間余分大腸内に滞留し水分が吸収されると、
便が硬くなり出難くなる。

便通の良い私には、本当に恐ろしい現象である。
ご存じの通り、この便を無理やり排泄する際に、肛門が裂けるのである。

「便秘で切れ痔など、あってはならんのだ! このLKM博士に」

インターネット上には「断食で便秘解消」たる記事が沢山出ている。
便の原料である食事を抜いて、排便を誘導する食事による刺激も抜いて、
何故、便が出るのだ???

便秘解消には規則正しい食事リズムが必須であると、
私は百発百中の実体験から確信している。