09/08
微生物繋がりで訪問した先は泡盛の老舗(後編)

前回のつづきである。

キラキラネームの技術者の方が新商品として最近開発されたのが
「瑞泉King10年古酒」

160908-1.JPG
(これも頂いてしまった!)

「泡盛はアルコール度数が高くてロックで飲むのはきつい」
という方のためにロックでも飲み易い泡盛をコンセプトに開発され、
10年熟成された古酒で作った商品。
それでもアルコール度数は30度ある。
さすが泡盛...。
ロックで飲むために開発したと熱く説明されていたのに、
開発者の一人であるキラキラネームさんは、
何故か途中から炭酸水割をやたらと薦めて来られた。
謎である。
自宅に帰りやってみたが、確かに美味かった!
改めてホームページで調べても、ロックがおすすめと書いてある...。
この日、教えてもらわなければ、おそらく一生試さなかった泡盛の炭酸水割。
プロに公表していない秘密の飲み方を教えてもらったような特別感があり、
なにやら得した気分に浸ってしまった。

突然訪問して頂きものばかりでは申し訳ないので、
殆ど本土には出回っていないという「おもろ10年」を購入した。

160908-2.JPG

これは、もったいないのでまだ開封していない。
泡盛は、このまま室温で放置していても熟成していくそうだ。
酒は生き物である。
つまり、5年放置しておけば、1ランク上の「おもろ15年」になるのかもしれない。
甕熟成ではないので、おそらくその規格には達することはできないのだろうが...。
一応コメントしておくが、セコい意味でこういう発想をしているのではない。

その日は、何種類も泡盛を試飲させて頂いたこともあり、
少々酔って調子に乗って「後日、ヨーグルト贈ります!」
と言って瑞泉酒造を後にした。


「お礼は豪快に!」
相手が思っているレベルを超えるお礼をしたいものである。
私は、1万円近くの大量のヨーグルトを自社通販で購入し瑞泉酒造に贈った。
普通の家庭なら冷蔵庫に入り切らない量である。


1週間後、今度は色々な種類の泡盛ベースのリキュール類を頂いてしまった。
お礼へのお礼で恐縮してしまう。

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左から、
沖縄黒糖使用梅酒
カーブリキュール(沖縄の柑橘類の一つである「かーぶちー」が入ったリキュール)
宵の紅茶(沖縄県産紅茶葉を使用したリキュール)
瑞泉パッション梅酒「パッショナブル」(梅酒とパッションフルーツのリキュール)
南の島の梅酒(梅酒にシークヮーサーとはちみつが入ったリキュール」

味の想像ができないものが多いが、それは頂く時のお楽しみである。
既に頂いた両端の2本は美味しかった。
それこそ炭酸水割が良い感じで、かなり飲み易かった。
特に女性は大好きな味と思われる。
通販で購入できるので興味がある方はお試しあれ。

微生物繋がりの縁は、微生物が造り出した最終商品の交換で第一幕を閉じた。

実は、来年5月に沖縄で開催される学会のシンポジウムで講演を頼まれている。
学会期間中に時間があえば、第二幕として泡盛でも飲みながら、
熟成について、もう少し教えてもらいたいものである。

09/05
微生物繋がりで訪問した先は泡盛の老舗 (前編)

先日(といっても約2ヶ月前)、沖縄に招待され講演した時、新たな出会いがあった。

沖縄には大学の剣道部の後輩がいる。
那覇出身、那覇在住の後輩の名はヨシトヨ。
彼は私が4年生の時の1年生である。
20年前の体育会系剣道部であると伝えれば、我々の関係は想像に難くないであろう。
王様と奴隷(笑)
とはいえ、私は比較的優しい先輩であった自信はある。

私が沖縄に行く際は、とりあえず彼に一報を入れることにしている。
ヨシトヨ君は、私のスケジュールに合わせて時間を作ってもてなしてくれる。
先日は、帰りのフライトまでの時間に、
首里城付近の知合いの所に車で連れて行ってくれた。

着いてびっくり!
道路脇に『瑞泉(ずいせん)』と看板が出ていた。

ヨシトヨ君曰く、「微生物繋がりなので良いかと思いまして」

車を降りて近づくと、琉球泡盛の老舗の雰囲気出しまくりの年季の入ったシーザー像と看板が私を迎えてくれた。

160905-1.JPG

関東地方に泡盛を扱う居酒屋は多数存在するが、
瑞泉は、かなり高い頻度で店に置いてある泡盛ブランドの一つである。
私の脳内にインプットされている泡盛ブランドは、瑞泉と久米仙のみである。
当然、何度も飲んだことがある。

この黄色いマークをみれば思い出す方も多いのでは?

160905-2.JPG
(お土産に頂きました!)

なんと、連れて来てもらったのは瑞泉酒造の本社兼工場であった。

ヨシトヨ君は、中にズカズカと遠慮なく入って行く。
そして「中を見せてもらいます」と見学コースのような所に入り、
勝手にビデオを流し始める。
社長が小学校か中学校の同級生らしい。

残念ながら社長さんは不在だったが、
会長さんや、技術者さん(凄くキラキラネームであったのが印象深い)とはお話できた。
「ウンコの中の微生物の研究している先輩」と紹介されたが、
戸惑われることは殆どなかった。
さすが「微生物繋がり」である。

泡盛はタイ米(インディカ米)で作る酒だと初めて知った。
古酒の定義とは?
同時に熟成についても色々学んだ。
泡盛の甕は、ウィスキーの樽と同じよう熟成の風味づけに重要と理解できたが、
甕により味が変わるメカニズムまでは時間も足りず理解できなかった。

やはり、酒は奥が深い。

そして、微生物が繋ぐ縁も奥が深い。

08/29
古代のチーズ「蘇」 つづき

先週紹介した古代のチーズ「蘇」についてもう少し書こうと思う。

蘇の最初の記述は、大宝律令(忘れた方は日本史を復習して下さい)の中の職員会の職務分担の中に記述されている。
薬物を扱う典薬寮の中に薬物以外に牛乳をしぼる乳戸(酪農家)があり、乳とともに、酥(そ)と呼ばれる(コンデンスミルク、チーズ、ヨーグルト風の)乳製品が製造されていたとの記録があるらしい。
(「乳の科学」上野川修一編 朝倉書店,1996 より)

「酥」と「蘇」の違いはわからない。
非常用漢字と常用漢字の違いかもしれない。
並列して書かれていることが多い。

先日購入した蘇には製造方法が記載されていた。
しぼりたての生乳をこげつかさないように7~8時間火にかけ水分を飛ばすらしい。
そうすると赤みを帯びたベージュ色の固まりができ、これを型ワクに入れる。
ただ、それだけ。
記述されていないが、おそらくこの後、冷暗所で暫く放置していると思われる。

従って、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令においては
「濃縮乳」という規格になる。

それにしても、単純であるが面倒な製法である。

牛乳は産生するウシや季節により差があり、
また、文献によっても若干異なるが、
一般的には全固形分含量は12~13%といえるであろう。
残りの87~88%は水分ということになる。
この水分を飛ばすと、計算上、1Lの牛乳から120g程度の蘇ができる。

さて、夏休みの自由研究が終わっていないお子様には、
1日でできる「古代のチーズ蘇づくり」はお薦めである。
特別な道具も要らない。
歴史と科学の合わせ技の自由研究となる。

しかも、濃厚で乳糖がほんのり甘く、
皆さんが想像しているものより、きっと美味しいはずである。

08/22
古代のチーズ「蘇」

蘇をご存知であろうか?
"そ"と読む。

日本最古のチーズといわれているものである。
飛鳥時代に身分の高い人々が口にしていた貴重な食物とされている。
この時代、タンパク質不足であったであろうから、
滋養強壮食品としても効果が抜群であったと思われる。

これらの方々も間違いなく口にしていた事であろう。
推古天皇、聖徳太子
曽我馬子、曽我蝦夷、曽我入鹿
中大兄皇子(天智天皇)、中臣鎌足・・・

蘇に関しては、日本史で習った人、
或いは食品分野から学んだ人もいるであろう。
とはいえ、存在を知っていたとしても、なかなか口にする機会はない。

先日、実家に帰った時に久しぶりに明日香(あすか)に行った。
ややこしいが、場所は「明日香(村)」、
ここに都があった時代を「飛鳥」時代と称する。

飛鳥寺の脇の売店で復元された「蘇」が静かに販売されていた。
原材料は100%牛乳。
一切添加物が入っていないため、
過剰な甘さやフレーバー慣れしている現代日本人にとっては物足りない風味であり、
誰もが喜ぶとは思えなかったが、
職場の土産として購入を決断した。

160822.JPG

少々香ばしく、ほんのり甘く、まさに凝縮された牛乳で、
外側組織のクッキーっぽい食感もなかなかよく、
意外と評判が良かった。

奈良県出身で、
学生時代に乳製品製造学を専攻し、
現在乳業メーカーの研究所で働いている私。
よく考えると、私を待っていたかのような土産である。

大量生産できないため殆ど出回っていないと思われるが、
もし飛鳥に行く機会があれば、是非購入して頂きたい。
食べながら、食と歴史と文化を語り合うことができる、お薦めの逸品である。

以上

勝手に奈良県観光大使より

08/17
今週はバリバリ忙しいのでブログは休みです

タイトルの通り、ブログは休みます。
色々ネタはありますが、休みます。

オリンピックも殆ど見ていません。
「他人のメダルより自分の研究! 俺だって世界と戦っている!」
とテレビ中継の誘惑に襲われた時は思っています。


ブログ連載義務から解放してくれた西野君に感謝です。
はい、もちろん嫌味です。

参考ブログ
 
来週からボチボチ再開予定です。
では。

08/08
危険な場所で

猛暑である。
室内の仕事であることを強くありがたいと思うのは、
猛暑の時と台風の時である。

猛暑を一段とパワーアップさせる要因にセミの鳴き声があるが、
ここ東京都西多摩郡日の出町の協同乳業㈱の敷地内では、
セミ達の羽化が連夜繰り返されている。
主としてアブラゼミとミンミンゼミ。

凄く不安定な場所で羽化したセミがいたようである。

160808.JPG

不安定甚だしい植物のツルの先である。
ここに足を固定して、のけ反って羽化するわけであるから、
なかなか勇気が必要であったはずである。
羽化中、少しの風でも相当揺れたに違いない。

とはいえ、本当に勇気があったか否かは怪しい。
普通に考えれば、生涯最大のイベントをこんな場所で行うのは無謀な挑戦である。
おそらく、このセミは、この先端に着いて「ヤバッ」と思った時、時すでに遅し。
方向転換ができずに後戻りできなかったのであろう。
その結果、仕方なく羽化を決行したと考えるのが自然である。

確実に言えることは、
追い詰められ後戻りできない最悪の環境下でも、
やるべきことをやり切ったという事実。

見習うべき人は沢山いるはずだ。

08/02
便秘対策には食事リズムが大事です

タイトルのように改めて再認識した次第でございます。

久しぶりに実験で断食した。
このブログの読者ならご存じであろうが、
今実施している研究で、我々は時々断食せねばならない時がある。
食事成分の有効性を正確に測定するためである。

我々はこれを断食とは表現せず、絶食試験と呼んでいる。
断食は素人が行う行為、
絶食はプロが行う行為
これは、私個人の識別なので、真剣に捉えないで頂きたい。

先週、約半年ぶりに実施した。
経験豊富なため、きつくなるタイミング等を熟知しているので、
心にはゆとりがあった。
しかし、対策法はない。
大事なのは日常業務をしながら、
無意識で菓子類や飲料を摂取しないようにだけ気を付けて、
淡々と過ごすことである。

しかし、副作用はあった。
前回同様、いや、毎回発症する現象である。
That's Benpi
便秘である。
一応書いておくが、正確には英語ではconstipationという。

排便を促す食事刺激の欠如が原因と考えられる。
たった1日である。
しかし、通常排出される便が24時間余分大腸内に滞留し水分が吸収されると、
便が硬くなり出難くなる。

便通の良い私には、本当に恐ろしい現象である。
ご存じの通り、この便を無理やり排泄する際に、肛門が裂けるのである。

「便秘で切れ痔など、あってはならんのだ! このLKM博士に」

インターネット上には「断食で便秘解消」たる記事が沢山出ている。
便の原料である食事を抜いて、排便を誘導する食事による刺激も抜いて、
何故、便が出るのだ???

便秘解消には規則正しい食事リズムが必須であると、
私は百発百中の実体験から確信している。

07/28
チラガー食べました

先日紹介した沖縄土産を食べた。
参考ブログ→「おばちゃんを驚かせるもの探し

真空パックの封を切り、中身を出してみる。

160728-1.JPG
(耳が片方ないのは、写真撮影前にパートのおばちゃんが勇み足で切ったから。)

少々グロテスク度が上昇した気がする。
完全に豚の面である。
とはいえ、食べ物として雰囲気も醸し出している。

裏側はというとこんな様相である。

160728-2.JPG

グロテスクと思う人とそうでない人に分かれる気がする。

我々のように解剖の経験がある者は、
この絵面は明らかに組織学的な対象物であり、顔の裏側である。

一方、そういう経験がない方は、パッと見は何も感じないかもしれない。
服の裏地のような、非生物的な物体に感じるかもしれない。

但し、そういう方々でも、鼻の存在を認識したら、そうはいかないであろう。
まさしく鼻であり、鼻の穴を強調するかのうように脂が溜まっていた。

これらを細くスライスして頂いた。
想像した通りの食感と味であった。
肉というより、ゼラチン質であった。
耳は、いわゆるミミガーなので、沖縄料理屋で食べるそのままで普通に美味い。
好みによるが、オーブン等で加熱すると、少し違う食感を楽しめた。

但し、鼻の部分は、他の部位と一線を画す雰囲気があり、
噛んでいると豚の鼻が脳裏に浮かび、少々手強かった。

07/20
さらば、デジカメ3号

デジカメ3号が壊れた。
私の人生で3代目のデジカメなのでこの名がついている。

2011年から使っており、寿命であろう。
ただ、前触れもなく、いきなり壊れた。
前日まで元気だったのに・・・

特に私の場合は、畑で撮影することが多い。
撮影する手に泥がついていることも多々あり、
精密機械にとっては酷な状況で使っていることを考慮すれば、
5年間、よく働いてくれたと感謝している。

160720.jpg

5年前は、デジカメに連写機能が付き始めた頃で、
「これでスポーツの大事な一瞬を逃さず躍動的に撮れる」
と電器店の店員にアピールされ、興奮して買った記憶がある。

その機能を早速試し、綺麗に撮影できたことに感激して、
その写真をブログにしたのはこれである。
スポーツ撮影ではなく昆虫撮影への応用であったが(笑)。
ホシホウジャク

このブログに登場する2011年10月以降の画像の99%以上は、
このデジカメで私自身が撮った写真である。

時に力強く、時にお茶目に撮りたい春日野部屋力士軍団
動きのある昆虫達、アップで撮りたい昆虫達
色鮮やかに美味しそうに撮りたい野菜類
文字まで綺麗に移したい本などの印刷物
逆にわざとピントを合わせない書類やパソコン画面
実験の記録として撮る高画質写真

状況に合わせてかなり使いこなしていた。

お疲れ様でした!

壊れたデジカメは資源ごみとなる運命であるが、
愛着があり、しばらくは捨てられない気がする・・・

07/19
改良⇒改良⇒改良

最近、講演する時、真剣に臨んでいる。
特に、一般の方々(研究者以外)を相手にする時は真剣である。

こう書くと「これまでそうでなかったか?」と語幣があるかもしれないが、
本業は研究であり、研究者相手でないプレゼンの場合は、
依頼があれば仕方なしにやっていた。

「聴講者が、楽しく、何か感じてもらえれば十分だ。その延長で我々のヨーグルトが売れればラッキーだ」
という程度であった。
CMを流している会社ではないので、
私が研究開発しているヨーグルトの存在を一般の消費者の方々に知って頂くには、
招かれての講演は、かなり効率的であることもわかっている。

楽しんでもらうためには笑ってもらう必要があると勝手に思い込んでいた。
そのため、
「プレゼン中に1回は笑わす」という目標が、
次第に2回、3回となり、今では容赦なく5回以上は仕掛ける。

ただ、私も100回近く繰り返してくると、いよいよマンネリ化し、
私自身のモチベーションを維持するのも大変になってきた。
講演毎に違う土地に行ったり、
対象者が変わったりしているが、
それでも土日を潰して働いている私を満たす程の刺激ではない。


そんな中、私はふとしたことから視点を変えることにした。
細かいことは書かないが、「プレゼン技術を高めてみよう」と考えた。

「他の誰かにも聴かせたい!」

こう思わせるプレゼンを目指すことにした。
「面白いだけのプレゼン」からの脱却でもある

このように思ってもらうには、
私にしかできない価値のある講演でなくてはならない。
つまり、以下のように思わせる講演である。
「今日得た情報は重要なので誰々に伝えたい! でも、私ではうまく伝わらない。LKM博士に来てもらわないと!」

それからは手探りで色々改良している。
講演前の移動中は、特に前回の反省点を考慮して改良している。
飛行機であろうが、新幹線であろうが、全く寝ずに考えている。

聴講者との見えないやり取りが重要なので、
スライド(パワーポイント)自体に重点を置くのは止めた。
敢えて言うなら、スライドと私の一体感で相手に伝えるのである。
時には、スライドが私のトークを効果的に誘導し、
時には、私のトークを受けてスライドが脳裏に情報を刻み込む手伝いをする。

まだ、よくわからないが、少しずつ手応えをつかんでいる。
改良、改良、改良、しばらく続けてみる...


先日、講演した翌日に、それを聴いた方から次の講演の依頼があった。
ちょっと嬉しかった。

           
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