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LKM512
メイトー
協同乳業研究所

01/18
論文が掲載されました(BMC Microbiology) つづき

前回紹介した論文なのですが、一つ、伝えたいことを忘れていました。

BMC Microbiology 18:188, 2018
https://bmcmicrobiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12866-018-1311-8


この論文では、国内の主要な3つのブリーダーのマウス腸内細菌叢も16S rRNA遺伝子アンプリコンを対象に次世代型DNAシーケンサーで調べています。

マウスの腸内細菌叢が異なれば、
得られる様々な表現型データも異なるであろうことが容易に推測されますが、
実際にどれくらい腸内細菌叢に差異があるのかは明確にはなっていません。
密かに調べて悩んでいる研究者はいるでしょうが、
私の知る限り、誰も論文化はしていないと思います。

敢えて、知らない方が幸せな研究者は沢山いるとは思いますが、
気になって仕方なかったので...。
予想通り、ブリーダーにより腸内細菌叢は異なります。

本研究のメインの研究目的ではなかったので、3ブリーダーの通常腸内細菌叢のみを詳細に比較したデータは示してはおりませんが、得られた配列データは登録されておりますので、必要な方はご自分でダウンロードして比較して頂くことはできます。
DDBJのデータベースのアクセッション・ナンバーはDRA004549です。
ブリーダー名の後ろにAが付いていないサンプルが、未処理、つまり通常菌叢のデータです。

今日は専門的な話ですいませ~ん。

01/17
論文が掲載されました(BMC Microbiology)

2ヶ月前で報告が滞っておりましたが、
我々とサッポロホールディングスさん、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズさんとで実施した共同研究が、BMC Microbiologyに掲載されました!

タイトルは、
Taxonomic classification for microbiome analysis, which correlates well with the metabolite milieu of the gut
腸管内の代謝産物と相関する腸内細菌解析における分類階級
です。

なんのこっちゃ?
でしょうね。

腸内細菌に限らず、全ての生物は「種」に分類されています。
種とは、自然条件下で子孫を残すことができる生物集団です。
つまり、われわれは「ヒト」という種です。

また、系統分類学上では、
類似した「種」の集団を「属」という単位でグループにまとめ、
同様に、類似した「属」の集団を「科」という単位でグループにまとめ、
さらに同様に、類似した「科」の集団を「目」という単位でグループにまとめ、
もう一つ同様に、類似した「目」の集団を「綱」という単位でグループにまとめ、
もう一丁同様に、類似した「綱」の集団を「門」という単位でグループにまとめて表します。

「ホモ・サピエンス」 一度は聞いたことがあるでしょう。
これは、ヒトを指す学名ですが、ホモ属サピエンス種という意味です。
では、門のレベルまで含めてヒトを表すと、
日本語では、脊椎動物門 哺乳綱 霊長目 ヒト科 ヒト属 サピエンス種
ラテン語では、Chordate Mammalia Primates Hominidae Homo sapiens (属と種名はイタリック体表記が基本的ルール)
ヒトとチンパンジーの系統分類学上の違いは属レベルで生じます(チンパンジー属)
ところが、ヒトとウシの違いは目レベルで生じます(牛は鯨偶蹄目)
ヒトとタコの違いは門レベルで生じます(タコは軟体動物門)
進化の過程で古く分岐した生物とは上位の分類階級で別れているということです。

細菌も同様に系統分類されており(16S rRNA遺伝子の配列をベースに)、
我々が調べた腸内細菌叢も、この分類による学名で表記します。
その際、分類階級のどの階級を用いて結果を分析しても自由です。
従って、研究者によってバラバラなのです。
極端な話、肥満に対する腸内細菌叢の影響を調べる研究をしていても、
「門」のレベルで語っている研究者もいれば、「種のレベル」で語っている人がいるわけです。

この状況、少々、困りませんか?
地球上の動物を腸内細菌叢に置き換えて考えると(極端かもしれませんが)、
軟体動物と脊椎動物の比率で議論している人がいると思えば、
トノサマガエル、アフリカゾウ、ハラビロカマキリという次元で語っている人もいるわけです。
自由なので...。
しかし、私はかなり困惑し、苛立ちすら感じておりました。

そこで、自分達の目的に適した最適分類階級を決めてしまおうと思ったわけです。
我々は80匹弱のマウスのウンコを集めて、
生体への影響が大きい腸内細菌の産生する代謝産物を指標にして、
代謝産物の個体差とリンクする分類階級を探索することに挑戦しました。

つまり、我々が標的としている腸内細菌の代謝産物の研究を行うにあたり、
どの分類階級で分析すれば正しいゴールに近づき易くなるのか、
どの分類階級で分析された他人の論文データを参考として選択するべきか、
自分達で確認しようとしたわけです。

結論から述べると、
「科」より低い分類階級(つまり、科、属、種)で得た結果は、
代謝産物とリンクしていました。
門、綱、目のレベルで得た結果は、リンクしていなかったです。

もし、「私も困ってた」という研究者の方がおられましたら、ご参照下さい。
フリー・アクセスです。

BMC Microbiology 18:188, 2018
https://bmcmicrobiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12866-018-1311-8

本研究に関連するエピソードを書くとすると、これでしょうね。
筆頭著者のWakita氏は、80匹分のマウスのウンコを回収する際、
屈みこんで、排便を待ちながら1つ1つピンセットで回収するという、
丸一日におよぶ慣れない動作の繰り返しにより、
翌日、日常生活にも支障が出るレベルの強烈な全身痛に陥り、
(おそらく、足腰から背中・頸部におよぶ筋肉痛)、
飲み会を欠席しました(笑)。

01/08
明けましておめでとうございます

本ブログ的には、

明けまして、おめでとうんち!
本年もよろしクソ!

でしょうね。


年明け早々、当研究室の研究員TSからこんなものを頂きました。

20190108.JPG

ウンコと共に入っていたトウモロコシみたいな白い物体は、
便器を洗うブラシです。
ご丁寧に、ブラシケースまで付いておりました。

いわゆるガチャガチャでゲットしたものだそうです。

ウンコ系のガチャガチャを発見すると、
無駄遣いとわかっていても、ついついやってしまう・・・。
悲しい性ではありますが、
さすが、この研究室のメンバーです。

さて、偽物のウンコ&ブラシセットは飾っておくとして、
我々は、今年も本物のウンコと真剣に対峙して、
オリジナリティーの高い発見を目指します!!!

12/27
良いお年を

しばらく更新しておらず、一部の熱心なファンの皆様にはご心配をお掛け致しました。

体調が悪い訳ではありません。
といいますか、培養開始12時間後の大腸菌レベルに、元気であります。
(理系限定の例えですいません。凄く元気ということです。)

単に、気持ちが乗らなかったというのが正直な理由です。

この間、論文掲載も複数ありましたので、
年明けからはこれらの解説記事をはじめ、徐々に復活したいと思います。

「徐々に」というのは、こういう理由からです。
今回、わずか1ヶ月程度ですが、ブログを書く習慣を完全に途切れさせました。
すると、ネタが浮かんで来なくなったのです。
以前は、10個も20個も常にネタが私のウンコ色の脳ミソ内で湧き出ていたのに...
脳は使っていないと鈍るといわれますが、
本当にそのようです。
とても貴重な体験ができました。

使えば復活するのも我々の脳の素晴らし機能の1つです。
そういうわけでブログ脳も徐々に回復させたいと思います。

では、皆さま、良いお年を!

11/16
無反応でも話す

知り合いの先生から大学での講義を頼まれることは多く、無理の無い範囲で引き受けます。
今週は、2つの大学で講義をやりました。

今の大学では、学生はパソコンやタブレットを普通に使用しながら授業を受けます。
今週、お伺いした一つの大学では、
登録されている講義が行われている教室で、ログインすることで出席確認となるシステムが導入されているとのことでした。
当然、大学内のシステムを用いて講義の資料が閲覧でき、
それを見ながら受講するわけですから、
インターネットで遊んでいても、こちらからは識別できません。

従いまして、なかなか対話形式には持ち込めません。
「これ大事」と伝えると、その反応として、パチパチパチとキーボードを叩く音(パソコン上でメモを取る音)が響く状態です。
この音に、「一応、聴いてるんや」って安心する私です。

質問や感想等の反応も、その場では殆どありません。
でも、学内のシステムに書き込まれて私のところに届きます。
これを読んで、「一応、聴いてはいるようだ」って再び安心する私です。

話を聞きたい方が集まる学術集会、健康に興味がある方、工場見学に来られた方等を相手に、ライブ感のある中で、プレゼン技術を鍛えて来た私としましては、この非対話形式の講義は結構辛く、一方で、反応が弱いので物足りなくもあります。

でも、1コマ90分間もあるわけですから、無反応であろうが、
ポリシーとして、お構いなしにウンコネタと相撲ネタはぶっ込みます。

昨日、これまでは全敗(完全無反応)だった相撲ネタに少し反応がありました!
「稀勢の里4連敗で騒がしくなっているけど、4敗目の相手がこの栃煌山」
結構大きく扱われていたので、ニュースで取り組み映像でも見たのでしょうか?
明らかに、「へー、そうなんだ」って反応がありました。
好調オーザン関に感謝です!

10/31
パニックでした

出勤中、中途半端に渋滞している道路をノロノロと運転している時である。
少々、便意(もちろん大)が高まり、どこまで耐えられるか(どこで排泄するか)を考えていた。
いつものラジオ番組が、曜日毎の企画を流す時間帯に入った。
しかし、何故か、恒例の水曜日の企画がなかった。
「ん? 今日は水曜じゃなかったっけ?」

私のウンコ色の脳ミソが混乱し始めた。
最近、色々な案件が固まって非常に忙しくて、寝不足中。
しかも、今週は殆ど外出がないので、曜日感覚があまりない。
一体、今日は何曜日なのか、わかっているようでわかっていない。

仕方なく、私は今週を振り返ってみた。
月曜日は、私があの原稿を送ったよな?
それの内容確認の連絡がきて修正したのは次の日やったはず、つまり火曜日。
それは、昨日の気がするので、やっぱり今日は水曜のような気がするが...
でも、何故、ラジオが違う?
水曜日、丸一日がすっぽり記憶から抜けてるのか?
あの電話をしたのは何曜日やった?
昨日は何をした?

いや、待てよ。
ハロウィンで渋谷がどうのこうのってさっきニュースをやってたよな?
ハロウィンは10月末?
ニュースが流れたってことは、もう終わって、今日は11/1 ????
混乱してきた。10月って30まで、31まで??? 
今週の唯一の外出は11/1だったので、もしかしたら今日????
えっ、ということは、大学で講義を頼まれていた日?
何っ? ヤバいぞ、えっ、今日はいつ???

落ち着けー(心臓バクバク、便意喪失)。

急遽入ったコンビニで今日は11/1ではない事を確認して、無事会社まで来た。
それでも不安は収まらず、すぐに部下に、今日は何曜日かを確認した。
確認できて、落ち着きを取り戻した。
ただ、事の発端であるラジオ番組がイレギュラーなことをしたことだけは未解決である。

10/26
論文が掲載されました(Gut Microbes)

我々とヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社とで実施した共同研究の成果が、Gut Microbesに掲載されました!
投稿し始めて、2-3年位かかりましたかね。

掲載論文:https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/19490976.2018.1494466
日本語リリース:https://www.lkm512.com/contents/20181025.pdf

専門性が高く、説明するのはややこしいですが、
我々が注目している腸内細菌が作り出す善玉物質ポリアミンが、
アルギニンからどんな経路で作られるのかを、
特殊なアルギニンを使って、追跡した実験結果です。

特殊なアルギニンというのは、
アルギニンを構成している炭素と窒素を重くして目印をつけたものです。
当然、それなりに高額な研究試薬です。
(栄養ドリンクに入っているアルギニンの1万倍とか10万倍とか・・・)
この自然界に存在しない特殊アルギニンをラットの腸内に注入し、
腸内細菌により、どんな化合物に変換されているのかを調べました。
重いアルギニンから作られるのは、当然、自然界には存在しない重いポリアミンなのです。
自然界に存在しない重さなので、質量分析計でしっかりと正確に追跡できるのです。

その結果、
アルギニンが色々な腸内細菌により、様々な化合物に変換され、
最終的にポリアミン(プトレッシン)が生成されることが再確認され、
また逆に、
中間化合物から逆の経路でアルギニンが再合成されている事実もみつかりました。

おなかの中で腸内細菌に利用され、一端消失した物質が、
別の腸内細菌により、その分解物から再び生合成されて復活しているということです。
びっくりしました。

私がこの結果で感じたことは、
各腸内細菌の集合体である腸内細菌叢の物質変換(栄養の利用と排出)は、
我々がわかったつもりで眺めている代謝マップと全く別物であるということです。

腸内細菌の代謝産物が絡む機能性食品等の作用機序を論じるなら、
今回我々が実施したような手法を用いて、丁寧に調べるしかありません。
そうすることで、本当の意味での「科学的根拠を有する機能性食品」に繋がると考えます。

10/16
古い友人

研究をしていく上で、大学の研究室での経験は極めて大事なことである。
そこで学んだスキルはもちろん、姿勢や習慣も、その後の研究生活に多大な影響を与える。
今の大学事情は十分には把握していないが、
20年前の理系の研究室は、多くの大学院生は寝る時以外は殆ど研究室で過ごす生活をしていた。
土日も殆ど関係ない(とはいえ、土日は先生が来ないのでリラックス・モードではあるが)。
従って、同じ研究室のメンバーは、「同じ釜の飯を食った仲」という表現が最適である。

私が修士課程の時の2人の同期生は、特にそういう関係である。
3人で代わる代わる先生に怒られていた記憶は今でも鮮明に残っている。
もちろん、3人まとめて叱られていた時も多い。

そんなメンバーの一人が、インドネシアのスラウェシ島で大学教授をしている。
インドネシアから来た留学生であった。

数週間前、私にとっての第一報は、運転中のラジオから届いた。
聞き慣れた島の名前なので、乾いた土に水が染み込むように耳に入って来た。
スラウェシ島で大地震が起き、巨大津波が街を破壊したニュースである。

友人にメールを送った。
しかし、返事は来ない。
次の日も、次の日も。
そもそも、発展途上の島である。
通信手段は普段から悪いはずと脳内で片付けて、仕事に集中していた。

そんな状況下、昨日、一通のメールが...。
無事だった!
震源地から離れていて、直接的な被害は受けなかったようである。
ただ、治安はかなり悪いらしい。
刑務所から1000人規模の収容者が脱走もしているようである。

とりあえず、信頼できるところに募金をしてみようと思う。
彼個人の生活より、島全体の治安やライフラインの回復が重要なようなので。

09/27
難しいね

9/27朝

何だか寒い。
天気予報によると11月上旬並みの気温だそうだ。
さて、今日は東京都心部へ外出
9月のビジネス服装は夏仕様(半袖シャツのみ)と決めている私であるが、
信念に反してジャケットを着るか?
難しい

3日間ほど雨が降り続き、畑に行けない日が続いている。
気が付けば、車の中にはレタスの苗が入ったまま。
ヨトウムシの被害を受けたレタスの補充用である。
タイミングを誤った。
難しい

もし、仕事関係で、やることリストを作ったら、20項目ほどあるだろう。
集中すれば数時間で終わるものが18項目
月単位で取り組む熟考すべきヘビーなものが2項目
この2項目から逃げれば、その他18項目は処理できるが、
敢えて、18項目はリストから出して、ヘビーな2項目に真正面からぶつかると決めている。
そうしなければ完成度の高い、ハイレベルな仕事はできないからだ。
それにしても、難しい。

09/14
学会関連報告(2018年9月)

私自身が壇上で話しているわけではないが、
私が思いっ切り絡んでいる共同研究での学会発表が、
9月に入り続いたので報告しておきます。

①第73回 日本体力医学会(福井、9/7-9)
「腸内水素ガス産生乳飲料の摂取が高強度運動後の酸化ストレス応答に及ぼす影響」

早稲田大学スポーツ科学学術院、筑波大学大学院人間総合科学研究科と協同乳業の共同発表です。
「ミルクde水素」を学術的に表現すると「腸内水素ガス産生乳飲料」となります(笑)
「ミルクde水素」が、高強度運動(スポーツ・トレーニングのような激しい運動)後の酸化ストレス軽減に有効性を示すデータが出始めました!
二重盲検ランダム化クロスオーバー試験でやっています。


②Royal Society of Chemistry-Tokyo International Conference 2018(幕張ですが国際学会. 幕張ですが東京国際会議、9/6-7)
「Simultaneous analysis of 42 Chiral amino acids produced by intestinal microbiota in biological samples by high-throughput LC-MS/MS」

島津製作所、大阪大学大学院工学研究科と協同乳業の共同発表です。
大阪大学大学院工学研究科が開発したD-アミノ酸の一斉分析方法を、島津製作所と協同乳業がウンコ解析への応用に成功し、腸内細菌が色々なD-アミノ酸を作っていたことを明らかにしました。
なんと、Best Poster Award(ベスト・ポスター賞)獲得!


学会発表なので、これ以上詳細には解説しません。
論文になったら報告しますわ。
たぶん・・・

           
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