カレンダー

カテゴリー

最新のエントリー

 

アーカイブ

2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年

検索

LKM512
メイトー
協同乳業研究所

09/06
酢を飲んでも効きません

先日、Science Advancesに掲載された論文に絡んで、
結構な頻度で質問されることがあるので、ちょいと解説する。

この論文
(原文)http://advances.sciencemag.org/content/4/6/eaat0062
(日本語解説リリース)https://www.lkm512.com/contents/20180628.pdf

様々な生理機能を持つポリアミンを腸内細菌に継続的に作らせることで身体に供給し、
健康寿命を伸ばす技術とそれを応用した食品の開発を目指している一連の研究で、
腸内細菌がどうやってポリアミン(プトレッシン:ポリアミンの一種)を作っているのかを解明した論文である。

腸内細菌が食餌由来のアルギニンからプトレッシンを作ることは、
既に、我々が発見して発表済みであるが、
どの菌が?
どういう生合成経路で?
というのが長年不明であった。
「アルギニンを食べたらプトレッシンが増えるからいいんだよ!」
というのでは、その辺に氾濫している食品と同じで、
私が目指している高貴な科学的根拠を持った食品とはいえない。

それで5年間程、そのメカニズム解明をかなり頑張った。

研究の結果、大きく3つのグループの菌が関与していることがわかった。
①酸を作る菌のグループ
②その酸により環境中が酸性化したら、「ヤバい」と感じて(酸が細菌増殖抑制に効くのはご存知だろう。おにぎりに梅干し作戦はその代表である)、その酸を菌体内から除去するためのシステムをアルギニンを使って作動させて生き残りを図る菌のグループ
③酸除去システムを動かすとゴミが出るので、②の菌達は菌体外に廃棄するのだが、そのゴミ(副産物)を利用してエネルギーを作ろうとする菌のグループ(彼らにとってはゴミではなく、いわば我々にとってのブドウ糖にようなエネルギー源である)
この③のグループがエネルギーを作った後のゴミ(副産物)がプトレッシンで、彼らにとっては不要なので菌体外に捨てるのであるが、我々の健康には役立つのである。

この一連の異菌種の別々の生命活動が合わさった経路を、
私は格好よく「ハイブリッド・ポリアミン生合成経路」と名付けた。

このハイブリッド・ポリアミン生合成経路は、上に示した通り、
『酸』による刺激がトリガー(引き金)となり作動する。

その証拠に、ウンコを酸性液に浸けて培養すると、プトレッシンがドクドク合成される。
(このデータも論文に載せている)

さて、ここからが本題

講演後、これを理解した人は、
「酢を飲めばいいってことですよね?」
と言って来る。
半数以上は勝ち誇ったように指摘して来る。
これは、私がビフィズス菌摂取等を推奨するのを逆手にとって、
少々いじわるな質問をしてやろうという根性の持ち主がやる行為である。

答えは、「No」
酢は腸内細菌がいる小腸下部から大腸まで、その酸度(pH)のままで届かない。
よく考えて頂きたい。中学生位で習ったと思う。
酢に勝るであろう強烈な酸が、胃の中にはある。
胃酸である。
二日酔いで胃酸が逆流(ゲロ)して喉がただれた経験はないだろうか? 
しかし、胃酸を含む食べ物は、胃から十二指腸に移行する段階で、膵液(アルカリ性)により中和される。そうでないと十二指腸以下の消化管が酸でただれる。
したがって、口から入った酢などの酸性物質が大腸までその酸性度で届くことはあり得ないのである。

ハイブリッド・ポリアミン生合成経路を動かすためには、
ビフィズス菌等に、腸管内で酸を作ってもらうしかない。
興味深いのは、pHが中性7から6.5~6程度に下がるだけで十分な点である。
緩~い酸性化で十分であるという点が、
この生合成経路がビフィズス菌摂取で実際におなかの中で作動する現実性を証明している。

但し、どのビフィズス菌でもよいわけではない(LKM512はポリアミン産生を誘導する)。
その理由は、気分が乗ったらまた書くとする。
もちろん、論文には書いてあるので、知りたい方は読んで頂きたい。

08/29
タイトルでインパクト(?)

昨日、理研・辨野義己先生主催のフォーラムがありまして、
講演して欲しいと頼まれたので話してきた。

フォーラム後の懇親会の後、こんな本を頂いた。

20180829.png

「大便革命」だそうだ・・・

このタイトルに、センスがあるのかないのか、
私にはさっぱりわからない。

もの凄い数の本が出版される中、
一般向けの類似の新書が氾濫している中、
タイトルでインパクトを与えねばならないのだろう。

ただ、過去にも、
「大便通」やら「べんのお便り」やら、
方向性が類似したタイトルの本をもらったな~
と少しノスタルジックな気持ちに陥った。

08/07
楽しんでますか?

今朝、運転中に聴いていたラジオから名言の紹介があった。

「天才は努力する者に勝てない。努力する者は楽しむ者に勝てない」

聞いたことがあるような、ないような言葉であるが、
何だか、強烈に心に響いた。


研究においては、同じような課題を与えられても、
楽しそうに取り組んでいる人は、
辛い顔をして取り組んでいる人より、
良い成果を出しているような気がする。

少なくとも、これまでの経験の中で、
楽しんでいない者から、
創造的なアイデアを聞いたことはない。


私自身、それなりに楽しんでいる方だと思うが、
この名言を意識して、
更に1段階、「オレ、楽しんでるぜ!」レベルを上げようと思う。
無敵になるために・・・

ただ、「ウンコを使った研究は楽しいぜっ!」
をイキイキ表現し過ぎると、
変人・変態扱いされるリスクが高いため、気を付けねばならない。

07/27
不思議なネットワーク

先日のScience Advancesに採択された論文は、
京都大学さんでも研究成果としてリリース発表がされております。

コチラをクリック

ふと読んでみますと、論文内容の紹介と共に、
「研究者からのコメント」というコーナーがあり、
共著者の東樹宏和先生のコメントがありました。

「この研究プロジェクトには、人と人の不思議なネットワークを通じて出会いました。」
という一文から始まっています。

そうです。
本研究のスタート時からチームを形成していたわけでなく、
研究後半で、同じく共著者の栗原新先生(石川県立大)が、
たまたま学会で東樹先生の講演を聴講したのがきっかけでした。
大きな学会(同時並行で多くのシンポジウムが開催されている)でしたから、
もし、栗原先生が偶然聴いていなかったら、
出会っておらず、論文内容も一部は違ったものになっていたはずです。
京大まで押しかけて、少々強引に解析をお願いしたにも関わらず、
ハーブティーをご馳走になりながら、やりたい事を説明し、
興味を持って頂き、快諾して頂いたのを覚えています。

東樹先生は生態系を構成している生物間のネットワークの研究が専門で、
それに絡めたであろうこのコメントはさすがです!

同じく、この研究成果も、腸内細菌同士の新規ネットワークの発見でもあります。
但し、このネットワークには、いわゆる共生と定義付けされるような必然性あるいは密接性はありません。
腸内常在菌が、個々で自分の生存活動を普通に営んでいるだけなのですが、
結果的には、棲息場所を提供しているヒトにとって有用なものを作り出しているという
不思議なネットワークなのです。

「不思議なネットワーク」で出会った研究者が、
腸内の「不思議なネットワーク」を発見したということです。

07/20
男性も使うべき

ここ1週間、ニュース等で繰り返し使われている
「命に関わる危険な暑さ」
という表現に対して、
「大袈裟な・・・」と思っていた。

もちろん、お年寄りとか小さい子供にとっては、
40℃近い気温は危ないとは理解しているが、
炎天下で畑作業をすることがある私にとっては問題ないと。

昨日、仕事で炎天下での移動があった。
最も暑い13時~15時台の移動である。
自宅から駅、駅から目的地、合計30分間位の徒歩移動があるわけであるが、
ヤバかった。
ニュースでの表現の通り、身の危険を感じたのである。

暑いというより熱い。
伝わらないのを覚悟しての表現になるが、
身体を構成しているタンパク質が熱変性しそうな感じ。

畑ではここまで暑く感じないのに、どういうことか? と考えたところ、
麦わら帽子の存在に気付いた。

なるほどな~

周囲の目なんて、ほぼ気にしない私は、
これに気付いた瞬間に、担いでいたリュックから傘を取り出し、
直射日光を遮る作戦を決行。

日傘作戦
厳密には日傘ではないので、雨傘を日傘として使う作戦

劇的に効いた!

男性も恥ずかしがらずに使うべきであると、ここに強く主張する。

07/09
ご活躍、嬉しいです!(武庫川女子大学体操部)

またまた、
「ミルクde水素」を選手のコンディション向上に使って頂いている
武庫川女子大学の体操部の大野監督からメールを頂いた。

第72回全日本体操種目別選手権大会(6月28日~7月1日)で、
武庫川女子大の平岩優奈さん(2年)が平均台で3位銅メダルを獲得!
段違い平行棒では河崎真理菜さん(1年)が、8位入賞

おめでとうございます!!!

また、この大会は、
各種目国内上位24名しか出場できない国内最高峰の試合であるが、
女子では1団体としては最多の7名を送りこんでいるところが凄い!

私の中で好成績の要因は、
本人の努力、監督の指導、ご家族の協力、そして運が大事で、
それに続いて、
数%位は「ミルクde水素」パワー
ということにしている(笑)。
腸内環境が生体のあらゆる現象に関わっていることが明らかになっている状況下、
飛躍した考えではないと思う。
(と書きつつ、飛躍している気もする...。でも、仮説としては構わないであろう。)

数%の貢献度は僅かである。
しかし、体操は、小数点以下3桁まで点数化され争われる競技である。
仮に、平岩選手の平均台の得点13.066から3%分の点数を引くと、
13.066×0.97=12.674点になってしまう。
この点数だと4位転落である。

次のターゲットは来月のインカレのようである。
引き続き、お腹からのパワー注入による後方支援をさせてもらう。

20180131b.jpg
武庫川女子大体操部の皆さまと(2017年12月撮影)

06/28
論文掲載 今日のはScience Advancesです!

昨日に引き続き、我々の論文が掲載されましたので報告します。

我々と石川県立大学の栗原新准教授、京都大学の東樹宏和准教授、理化学研究所の辨野義己特別招聘研究員らとの共同研究の成果が、米国Scienceの姉妹誌のScience Advancesに掲載されました!

ジャーナル編集部が、プロモーションスライドといって、
タイトル等が入ったものを記念に(?)送って来てくれましたので、
とりあえず掲載
20180628.jpg

長年しつこく取り組んでいる、腸内細菌の産生するポリアミンの研究です。

ず~っと、腸内細菌にポリアミンを作らせ、その保健効果を研究しております。
その過程で、5年前にはアルギニンとビフィズス菌LKM512を併用摂取すると、
腸内ポリアミン(プトレッシン)が増えることはわかっていたのですが、
それが、どういうメカニズムで起きているのかは不明でした。

やっと、そのメカニズムが解明できたのです!

グラフや表は、
本文中と追加参考データ(別ファイル)を合わせると48個ある大作です。
(一つの図にグラフを6個位入れているものは6個として計算)
とても一言で解説できません。

まずは、結構頑張って書いたニュース・リリースを見て下さい。
⇒ 個々の腸内細菌の生き残り戦略が組み合わさることで機能性物質ポリアミンが産生されていることを発見 ~ポリアミンで予防・軽減が期待される疾患(心血管疾患など)への応用が期待される~

プロの研究者は掲載論文を参考に。オープンアクセスです!
⇒ http://advances.sciencemag.org/content/4/6/eaat0062/tab-figures-data
 

06/27
論文掲載 ジャーナルはGutです!

我々と横浜市立大学肝胆膵消化器病学の日暮琢磨診療講師、中島敦教授らとの共同研究の成果が、英国消化器病学会の機関誌Gutに掲載されました!

Gutのインパクトファクターを先程調べてみると、
驚いたことに、
17.016

先日より上がっとる!!!

インパクトファクターとは、ジャーナルのレベルを表す数値で、
(これが価値を表す全てではないと思っておりますが)
この17という数値は結構凄いんです。

掲載された論文内容は極めてシンプルです。

大腸癌の増悪化に関連していることがほぼ確実視されているFusobacterium nucleatum(フソバクテリウム ヌクレアタム)が、口腔内に由来していることを発見しました!

これまで、F. nucleatumは腸管内で検出されないことが多いのにも関わらず(腸管腔内ではマイナー菌)、大腸癌組織では高頻度で検出されており、その由来が謎でした。
それが、口の中であるということがわかったのです。
そのように推測していた研究者はいたと思いますが、
我々の研究で初めて証明されたのです。

まさに力業でした。
大腸癌患者さんの大腸癌組織と唾液を採取し、
それらからフソバクテリウムを単離し、
共通した菌株が両方から検出されるか否かを調べたのです。
菌株とは、同一種内の生物個体のことで、ヒトで例えると個人に該当するものです。
気付けば1,351個の菌を単離しており、
その全てからDNAを抽出して調べたのですから、
しんどい仕事でした。
その地道な作業の殆どを著者の一人の下村さんが丁寧にやってくれました。
感謝です。

現在の腸内細菌の研究は、次世代型DNAシーケンサー解析が全盛期で、
糞便等の試料から抽出した核酸(DNA, RNA)を網羅的解析し、
「どの菌/遺伝子が多い/少ない」をデータ化し論ずるのが主流です。
日々、新しい知見が発見され、発表されていますが、
実際に腸内細菌を分離して証明されている研究は非常に少なく、
結論が漠然としている(推測の域を出ていない)論文が多数氾濫しています。

ですから、我々は敢えてその流れに逆行し、
20年以上前の手法、すなわち寒天培地で菌を分離する手法で挑戦しました。
次世代型DNAシーケンサーをガンガンと動かす研究費もないし・・・
良い結果が得られるか否かわからない状況下で、
こんなに泥臭く面倒なことに挑戦する勇気がある研究者は殆どいないはず。
Gutに載れば、まぁ、苦労が報われたってものでしょう。


研究内容を詳しく知りたい方は、ニュース・リリースをご参考に!
コチラをクリック

プロの研究者は掲載論文を参考に。オープンアクセスです!
コチラをクリック


ちなみに、これは本研究のゴールではありません。
スタートです。
なにしろ、口と大腸癌に共通して存在していた菌株(実際に口腔内から移行して大腸癌組織内で悪さをしていたと思われる菌)は、現時点では、世界中で我々しか保有していないわけですから・・・

( ̄ー+ ̄) ニヤリ

06/12
全てのタイトル獲得! おめでとうございます

1ヶ月以上前になるのですが、
(怒涛の忙しさだったので遅れました。すいません)
「ミルクde水素」を選手のコンディション向上に使って頂いている
武庫川女子大学の体操部の大野監督からメールを頂きました。

関西学生体操選手権大会において、
武庫川女子大学が圧倒的な強さで、
団体総合
個人総合
種目別(全種目)
全てのタイトルを獲得したそうです。

おめでとうございます!

そして、「なんなの?この強さ」という言葉が自然と出て来る成績です。

真のライバルは関東にいるのでしょうが、
新年度が幸先よくスタートできたようで嬉しいです。

とりあえず、私の中では、
「ミルクde水素」パワー
って、ことにしてしまっていますが、悪しからず(笑)

参考ブログ
武庫川女子大学・体操部を訪問(前半)
武庫川女子大学・体操部を訪問(後半)

05/17
結構人気あるやん、このブログ(続編)

先週のブログ「結構人気あるやん、このブログ」を読んで、
一通のメールが届いた。

メールタイトル
「先生のブログが女子高生に人気です」

まさに、あのブログで紹介した女子高生の所属する生物部(?)を指導していた先生(厳密には大学院生)からである。

以下に原文の一部をそのまま転記する。

====================================
彼女にブログの件を伝えたところ、
以前から友人の間で松本先生のブログが話題になり、
JK読者が増えているそうです。
ウンチングコアタイムの話に共感しており、さらに最近便秘気味の人が多く、
ミルクde水素を飲んでみたいとの声もあるとのことでした。
====================================

凄いやん、オレ!

人気に火が着いたらどうしよう~

女子高生が共感してくれたブログは2年前のこれでしょう。
このメールにあるウンチングコアタイムという素晴らしい造語を使用したのは、
これだけのはずである。

「狂ったウンチングリズム」

ちなみに、本物の女子高生と会話をする自信はない。

           
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109