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メイトー
協同乳業研究所

03/04
『からだの中の外界 腸の不思議』読了

このブログ等で少し腸内の話に興味を持たれた方にはちょうど良い読み物である。

『からだの中の外界 腸の不思議 最大の免疫器官にして第二のゲノム格納庫』
上野川修一著 講談社(2013)
いわゆるブルーバックスシリーズである。

20140304.JPG

腸管免疫の大御所が執筆された本で、私ごときが評するのは恐れ多いが、
今日はブログのネタが他に思いつかないので遠慮なく書く。

古くから研究されている消化・吸収から、
免疫器官としての腸、そして腸内細菌の新しい知見まで、
広く浅く、一般の方にでも理解しやすいように書かれている。
その分、研究者として読むには各論の専門性は低く物足りないのだが...。

ただ、一様にして、研究者は専門分野に特化している。
すなわち、腸内細菌の菌種構成を必死で研究している人は、
あまり腸の神経系のことは知らないものである。
しかしながら、
腸内細菌はこの神経系に支配されている組織に囲まれた世界に棲息しているわけで、
本来なら脳裏に入れて研究せねばならないことかもしれない。
(逆に腸内細菌が支配しているという噂もあるが...、これは今日の本題ではないので無視)
この様に研究者にとっても、十分に理解していない事の再発見が沢山できると思う。

そういう意味で、最近のトピックスまで紹介されている本書は、
専門家も腸という大枠で幅広く情報を整理するには良い書であろう。

「良い腸内菌叢を作って健康を手に入れよう!」的な本が多量に出回っており、
それらが胡散臭く、鬱陶しく感じる中、
大部分がサイエンスとして紹介されているため非常に落ち着いて読めた。

研究者には物足りないと書きながら、
後で読み返したい箇所はページを折る癖がある私は、
読み終えたら12ヶ所も折っていた。

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