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協同乳業研究所

11/30
お世話になっている実験器具・機器シリーズ6 ―試験管(Test tube,ディスポーサブル)―

今回は、前回の「お世話になっている実験器具・機器シリーズ5」でも紹介した試験管ですが、
その時写真で紹介したものより小さく、使い捨て(ディスポーサブル)として使用しているものを紹介致します。
これです↓。

20111130.JPG
直径1 cm、長さ7.5 cm、ガラス製です。
1箱に250本入っています。
1-4 ml程度の液体を反応させる時に使うことが多く、
この研究室では、DNAや微量のタンパク質を扱う実験以外では、
このサイズの試験管を使うことが多いです。

「お世話になっている実験器具・機器シリーズ2」でも紹介したように、使い捨てにする理由は、コンタミ(=汚染)を避けるためです。
(コンタミに関しては、このブログを参照して下さい)

特に、この試験管は定量(何かの物質や成分の量を正確に測定すること)のための反応に使用することが多いため、洗浄して繰り返し使用した場合、僅かに洗剤が残っているなどコンタミがあれば、定量値が狂うことがあるからです。

エコの世の中で勿体ない気がしますが、
この試験管は1,000本で7,000-10,000円程度、1本当たり10円以下です。
やり直しがきかない貴重なサンプルも多いため、リスク軽減の観点から使用するのは当然です。
また、洗浄する時間と労力を考慮すれば、人件費の削減の観点から使用するのは当然です。

但し、時間があり、失敗から実験の苦労を学ばなければならない学生がこれを使用するのには反対です。
まあ、殆どの大学の研究室ではこれを一生懸命洗浄して繰り返し使っているのが現状でしょうが...。

10/25
お世話になっている実験器具・機器シリーズ5―試験管(Test tube)―

理科の実験といえば試験管をイメージする人も多いでしょう。
殆どの方が知っている器具ですが、英語ではそのまま"テスト・チューブ"というのはご存じでしたか?
ガラス製で、細長い円筒型で底がU字型(平底のものもありますが、U字型の方が衝撃などに強い)、上側は開放系になっているのもが一般的ですね。

試験管は、少量の試料を入れて、その中で目的の反応を起こすための器具です。
大きさは長さが4-5 cmから20 cm程度、直径は7-8 mmから20 mm程度のものが一般的ですが、これは私の分野の話であり、異なる分野では、もっと多いものや太いものもあります。

私の場合、微生物を培養すること使うのが殆どです。
液体培地(微生物が育つのに必要な栄養が入った液)、或いはそれに寒天を入れ固めて、微生物を接種して培養します。
ですから、他の雑菌が試験管に入らないように蓋が大事になります。
被せるだけのアルミキャップの他、綿栓(自分で作ります。通気性が良い)、同じように通気性が良いシリコ栓、空気を絶対通さないブチル栓など、目的に合わせて使い分けます。

ちなみに試験管の上部の口の部分ですが、
加工していないものを"直口"といい、
リング状に肉厚にしてあるものを"リム付き"といい、耐久性を高めています。
リムは英語のrimで縁や枠という意味ですね。
201110252.JPG
この写真では左が直口、右がリム付です。

私のように、栓を試験管にねじ込んで蓋をするタイプの研究者は、
栓をする時に強い力がかかる場合がありますので、リム付を使います。
でないと、栓をしている時に割れて手に大怪我をする可能性がありますから。
意外と奥深いのですよ。

ふと、"直火や熱湯で加熱される試験管"と"ウンコを入れられる試験管"のどちらが幸せなのかと考えてしまいました。

09/15
お世話になっている実験器具・機器シリーズ4―ピペットスタンド Pipette stand―

前回、1 μl(0.001 ml)単位で測定できるマイクロピペットを紹介しました。
生化学の実験には欠かせないもので、頻繁に使うものであることは理解して頂けたと思います。
快適に実験するためには、容量ごとに1本ずつ、合計5-6本のピペットは保有する必要があります。
ですが、こいつが貴重な実験台スペースをとるのです。
しかも、実験台の上に寝かしておくと、何か液体がこぼれてコンタミのリスクもあります。

そこで、このようなスタンドがあります(ピペットホルダーやハンガーと呼ぶこともあります)。

20110915.JPG


空間の有効利用ができていますね。
いいでしょう?
これ、結構高価(1万円を超えます)なので長年憧れだったのですが、2年前にやっと購入できました。

色々なタイプのものがありますが、私はこれが最も使いやすいと思います。
これクルクル回転して、いつでも使いたい容量のものを手前に持ってくることができるのです。

購入してわかったことは、
実験スペースの確保、コンタミ防止以外にも、
ちょっと借りて使う人が、きっちり元の位置に戻してくれるという利点もありました。

ちなみに、あの地震でも倒れなかったです。
おそらく、バランスなども考えて開発されているのでしょう。

06/14
お世話になっている実験器具・機器シリーズ3 ―マイクロピペット Micropipett―

前回までと同様、液量を測定する機器ピペットですが、今日は少量を測り取るのに使用するピペットを紹介します。
マイクロピペット。
その名の通り、"m(ミリ)"の1000分の1の単位"μ(マイクロ)"が名前の頭に付いています。
つまり、1 μl(0.001 ml)単位で測定できる器具です。

20110614.JPG

黒いの部位を回して横に付いている目盛で量を合わせて吸い上げれば、その分量が正確に測れ取ります。
前回紹介したディスポピペットと同様に、ピペット毎に測定範囲が決まっており、目的の量にあわせて選択します。
写真は左から、0.2-2 μl用、2-20 μl用、20-100 μl用、50-200 μl用、200-1,000 μl用、1,000-5,000 μl用です。

1 μlなんて量を測定して何するの?
と思われるかもしれませんが、DNAを使う研究などでは、頻繁に使います。

微量用では0.1μl単位で正確に吸い上げるのですから、かなり精密な機器です。
時々、天秤で正確に測れているかをチェックして、狂い始めていたり、あるいは2年経過していたりすれば、メンテナンスに出して正確性を維持しています(写真のピペットに付いているシールがいつメンテナンスあるいは購入したかを記録したものです)。
車の車検並みの手入れ。

マイクロピペットは、非常によく使う器具なので、私のチームでは1人1セット。
また、再現性を高めるため、一連の実験は必ず同じピペットを使うこと徹底しています(同じメーカー、同じ容量であっても、決して隣の机のものは使わない)。
これだけ微量な世界ですから、微妙な違いで再現性が低下することもあるのです。

最近は製造メーカーも多いのですが、値段は高いですが、我々は信頼できる老舗メーカーのものを購入しています。
ちなみに最も汎用されている20-100 μl用、50-200 μl用、200-1,000 μl用なら1本3万円程度、0.2-2 μl用や1,000-5,000 μl用等は4万円程度します。
正確で再現性が高い実験ができると考えれば安い投資です。

05/24
お世話になっている実験器具・機器シリーズ2 ―メスピペット Messpipett(プラスチック,ディスポーザブル)―

前回と同じメスピペットですが、プラスチック製のディスポーザブルのメスピペットを紹介します。
ディスポーザブル(Disposable)とは"使い捨ての"という形容詞ですね。
研究室では略して"ディスポ"って呼ぶことが多いです。
「ディスポのピペットまだ倉庫にあった?」
というような使い方です。
これはあまり中学校、高校、あるいは大学の学生実験でも使わないのではないでしょうか?

20110524.JPG
このように1本ずつ個包装されており、滅菌(ガンマ線などで完全に殺菌)されています。
ガラスと同様に色々なサイズがあり、適したものを使用します。
左から1 ml, 2 ml, 5 ml, 10 ml, 25 ml用です。
色分けされており綺麗でしょう。

これは細胞培養あるいは核酸(DNAやRNA)実験など、微生物学的あるいは化学的コンタミを絶対に避けなければならない実験に使用します。
口で吸い上げるのではなく(まさにコンタミの原因)、写真右側にある専用の機械(吸い上げボタンと放出ボタンが付いている)で液体を定量します。
そして名前の通り、1度の使用で捨ててしまいます。

これを使い始めると、便利で安全で安心で、何度も洗浄し繰り返し使うガラスピペットには戻れなくなります。
1本5-30円程度(メーカーとサイズにより様々)するので贅沢品で勿体ない気がするのですが、それは間違っています。

ピペットのコンタミによる実験失敗リスクが完全に無くなり、
洗浄の無駄(時間と水)が削減できるわけですから、
贅沢なようで、実はトータルのコスト削減には必須のものです。

04/21
お世話になっている実験器具・機器シリーズ 1―メスピペット Messpipett(ガラス)―

新シリーズ立ち上げです。
ウンコ研究するにはたくさんの器具、そして機器類を使いますが、簡単に紹介していこうと思います。

ピペットとは比較的少量の液体を吸い上げ定量あるいは別の容器に移動させる道具です。
比較的少量とは曖昧ですが、25 ml程度まででしょうか?
決まっているわけでなく、好みの問題で、この数値は私の基準です。
きっちりと目的の量(例えば1 ml)を定量する場合と液体を別の容器に移動させる場合に使いますが、メスピペットは前者、きっちりと正確な量を測り取るために使います。
"メス"は雌性を意味するのではなく、ドイツ語 messen(測定する)が語源だそうです。
20110121.JPG
正確に測るため、ガラスの筒に目盛が刻まれています。
0.1 ml程度から10 mlの単位まで測定できます。
ですが、当然、この範囲の桁違いの定量を1種類のメスピペットで行うのは不可能で、
0.1 mlを測定する時は細長く容量が1 ml程度のメスピペットを使い(上側)、
1-10mlを測定したい時はもう少し太いタイプ(中段)、
特定の決まった量を測定する場合は、その場所のみに印がついたタイプを使います(下側)。

正確に測り取るため、さらに試薬のコンタミを防ぐために、メスピペット内のガラスに傷をつけてはいけません。
もし、細いたわしでゴシゴシ洗って傷が付くと、1 ml測定したつもりで、1.01 mlになってしまうこともあるでしょう。(傷がつけばつくほど、容積が大きくなる。)
微々たる量と思われるかもしれませんが、1%の誤差ですよ。
もし1%の誤差のあるメスピペットで7段階の希釈を行えば(ウンコの場合、これ位希釈する)、その誤差は、1.01×1.01×1.01×1.01×1.01×1.01×1.01=1.072。
7%の誤差になります。
ですから、洗剤の入った液に漬け置きし、次の日にひたすら水で洗浄します。
大変なので専用の洗浄機があります(後日紹介します)。

メスピペット(ガラス製)を記念すべき第1回目に選びましたが、実は私、ここ5年間に1度も使っていません。
中学生の理科の実験で使い、誰でも一度は触った事があり、なお且つ、ウンコと直接的な関わりが深い器具から紹介しようと思ったからです。

           
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