03/14
ワンちゃんのお腹の中でも生きているビフィズス菌(論文紹介)・前半

一般の方を対象に講演をすると、
「ビフィズス菌LKM512はイヌやネコにも効くのですか?」
という質問を受ける時がある。

「主人は別にいいのだけど、うちのワンちゃんには長生きして欲しいのよ~」
よくあるパターンである...(笑)。

そういう方々のために密かにやっていた研究成果が論文になったので紹介する。
ビフィズス菌LKM512がきっちりイヌの腸に生きて届くのかを調べた論文である。

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最新ニュースの様に書いているが、
実は昨年末にBeneficial Microbeというヨーロッパのジャーナルに掲載されている。
(私の脳ミソは、論文が受理された時点で過去のものとなり、次のことしか考えていないため、どうしても忘れてしまうのである。)

私が知る限り、
『史上初のヒト・ペット(イヌ)共通のプロバイオティクス』
と言って良いと思う。
つまり、飼い主が食べているものを側でジーッと欲しそうに眺めているワンちゃんに与えて、実際に生きて腸まで届くことが証明できたのである。

イヌやネコを対象にする場合、
背景にある根本的な問題は胃酸の強さである。
彼らは、食肉目に属し、生態系の頂点に君臨する肉食動物である。
(意外に思うかもしれないが、イヌ科もネコ科も同じ食肉目に属する。ちなみに、クマ科やアザラシ科等もここに属する。)
獲物を捕獲し、肉や骨を食べ、
(噛む行為は呑みこめるサイズにする程度で殆ど丸飲み状態)
胃酸で比較的長い時間をかけて消化し易く処理するようである。
つまり、胃酸が強く、胃内での食物の滞在時間も長いのである。

従って、「生きて腸に届く」を実践するには、
ヒトの胃内をなんとか生きて通過する程度のプロバイオティクスでは非常に厳しい。

ビフィズス菌LKM512の耐酸性には自信があり、
やってみる価値はあると思ったので、
動物病院(おおにし動物病院,長野県安曇野市)の先生に協力して頂き、
ウンコ菌培養の訓練も兼ねて助手A♂にやらせてみた。

つづく