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LKM512
メイトー
協同乳業研究所

09/19
論文掲載(臨床試験:アトピーのかゆみ軽減) ―追加試験―

かゆみが軽減した被験者では何が起こっているのか?
ここからが私が興味を持つポイントです。

当然、LKM512を摂取しているわけですから腸内で何かが起こっているはずです。

ハイ、ウンコを調べましょう~!

臨床試験準備の段階からこれがやりたかったわけで、
きっちり倫理委員会に提出するプロトコルにもウンコの回収と解析は入れてありました。
治験コーディネーターさん達は、通常は試験食の有効性の判定しか行わないので、
相当戸惑っておられました。
その節は、ご迷惑をおかけいたしました。

顕著にかゆみが軽減した被験者の試験前とLKM512摂取後の糞便を、
得意のメタボロミクスで徹底的に調べてみました。
(メタボロミクスの詳細は以前のブログで⇒メタボロミクス、ウンコロミクス・・・

結果は、個体差大。
予想通りですが、糞便中に存在する低分子の成分は、個人差が大きい腸内細菌の影響を強く受けるのでバラバラです。
しかし、1成分ずつ調べていくと、綺麗に上昇している成分が1つだけ見つかりました。
キヌレン酸という物質です。

知らないでしょ?
私も「何これ?」と思いました。
殆ど研究されていないのです。
ただ、色々文献を調べてみると、
キヌレン酸は中枢神経系に作用し、痛みと関連する受容体に反応し、
痛みを和らげる作用があることがわかりました。
!!!
実は、アトピー性皮膚炎患者の「かゆみ」は、掻き過ぎてあるポイントを超えると「痛み」に変わることから、「かゆみの強いのが痛みだ」というような議論を用賀アレルギークリニックの永倉先生とも散々やっていたので、痛みに関連する物質が糞便中で増えていたと気付いた時は、電撃が走ったような記憶があります。

そこで、アトピーモデルマウスを作製し(下写真)、
キヌレン酸を投与して掻痒(掻く)行動の回数を調べてみました。
2014091901.JPG
撮影:助手A♀(ダイエット中。しかし、減ってません。)
アトピー性皮膚炎モデルマウスは、ダニ抗原を塗布して3週間かけて作ります。

このマウスにキヌレン酸を静脈注射したところ、
見事に掻痒行動の回数が減るじゃないですか!
まだ、経口投与で実験しておりませんので、推測段階ではありますが、
LKM512のアトピー性皮膚炎患者のかゆみ低減メカニズムは以下のように考えています。

ビフィズス菌LKM512投与で、腸管内でかゆみ低減物質キヌレン酸が産生され、
血液内に吸収されたキヌレン酸は脳内に到達し(一部は血液脳関門を通過するという報告あり)、かゆみの神経系の反応を抑え、患者のかゆみが軽減させたと推測しております。

以上。

4日間も真面目なブログを続けたので、私のウンコ色の脳ミソは爆発しそうになっております。

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