04/02
我々のアンチエイジングに関する論文が公開されました!

2014年度、ブログの最初は「ウンコもらしちゃったマーク」で楽しくスタートしましたが、研究の方も良い形でスタートしました。
4月1日の18:00、我々の論文がNature姉妹誌Scientific Reportsに公開されました。

2009年から始めた
「腸内ポリアミン濃度コントロールによる健康寿命伸長食品の開発」
で実施した研究をまとめた論文です。
今日は、詳細は省き、要点のみを述べます。

①我々がアンチエイジング物質として期待している「ポリアミン」。これを腸内細菌に作らせて、生体内に供給することで健康寿命を伸ばそうという試みです。

②色々な試験(本当はここが味噌なのであるが今日は省く)の結果、
アルギニンの投与で腸管内ポリアミン濃度が増やせることがわかりました。
また、それにLKM512を加えると、より確実にポリアミン濃度が増やせることを見出しました。
個体差がある腸内細菌を利用して、殆どの個体の大腸内に特定の有用物質(今回の場合はポリアミン)を作らせることに成功した最初の例と思われます。

③アルギニン & LKM512をマウスに長期間投与して寿命と学習・記憶力への影響を調べました。
こだわったのは匹数。140匹でスタート。
この数やったら誰も文句言わんやろと。助手達は私を恨んだと思いますが。
もう一点、こだわったのは投与開始時期。
14ヶ月齢の時点から投与開始したのですが、マウス平均寿命を2年として、日本人の平均寿命を85歳とすると、大体50歳から投与開始したことになります。
これまでの我々の実績は10ヶ月齢(同30歳代半ば)でしたから、
大失敗の終わるリスクがありましたが果敢に挑戦。
おかげ様で、なんとか寿命は伸びました。

そして投与半年後、すなわち20ヶ月齢での学習・記憶力試験の成績が、アルギニン & LKM512投与群では非投与群と比較して有意に高かったのです。
20ヶ月齢というのは、先程の平均寿命換算で70歳位です。凄い!
ヒトに応用したら、70歳時点で脳機能が高まるという可能性を示唆しています。

色々調べて、ポリアミンは脳機能とも関係がありそうだと興奮していた昨年秋、
ショウジョウバエの実験で、ポリアミン高含有餌で加齢による記憶低下を抑えた研究成果がNature Neuroscienceに掲載されました。
今では、我々の結果は偶然ではないと確信しております。

ということで、滞っていた論文は、私が全部ひっくるめて執筆することにしました。
しんどかったです。英語を書くだけで何時間費やしたかわかりません。

個人的には、初めて私がコレスポンディングオーサー&ラストオーサー(あらゆる意味で誰がどう見てもこの研究を主導した人)になっている記念すべき論文でもあります。

フリーでPDFを落とせますので是非読んでみて下さい。
長いですが。

掲載論文はこちら(Scientific Reportsのホームページにジャンプします)
http://www.nature.com/srep/2014/140401/srep04548/full/srep04548.html
是非、Supplementary Information(補助データ)も見て下さい。
面白い食事メニューが載っています。

改めて読み直すと、自分で述べるのも変ですが、それなりにしっかりした論文です。
1ランク上のNature Communicationからrejectを受けたのが悔しくてなりません。
そういうわけで、嬉しい気分は全く無く、むしろ機嫌が悪い私であります。

それとは別に、ウンコを提供してくれた皆様には感謝感謝でございます。
サンクソ ベリー ウンチ!


あっ、そうそう。
アルギニンはね、そのまま市販の錠剤や粉末を飲むだけではダメなんです。
小腸で吸収されてしまうのです。
ちゃんと大腸に届けて腸内細菌にポリアミンに変換してもらわないとね。
秋にはスペシャルコーティングしたアルギニンを販売開始しますので、
ちょっと待って下さいね。