カレンダー

カテゴリー

最新のエントリー

 

アーカイブ

2018年 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年

検索

LKM512
メイトー
協同乳業研究所

03/28
腸内常在菌が脳の代謝系に与える影響 ―脳ミソ使ってるのか?編―

副題に「脳ミソ使ってるのか?」と書きましたが、
そんな疑問が生じるデータも出てきたのです。

昨日紹介したように、1つずつ検出された成分に着目し、その意義を考えることは重要です。
しかし、細胞内では、生命活動により、常に物質が異なる物質に変化していきます。
この現象を代謝といいますが、この代謝経路を全体的に眺めてみるというアプローチもあります。

20140328-1.png
これ、論文に使った図の原図ですが、
代謝経路を示した図に小さな棒グラフを何十個も貼り付けたものです。
めちゃくちゃ細かくてすいません。

線で繋がっている経路で物質が別の物質に変換されていきます。
代謝されていく道筋が地図のように書いてありますので、
我々はこれを『代謝マップ』と呼びます。
小さい棒グラフは、一つ一つの成分に関して、無菌マウス(青)と通常菌叢マウス(赤)の脳内の濃度を示しています。
つまり青の方が高い成分は無菌マウスの方が多い成分。

ボーっと眺めていると、緑で囲んだ左上のグラフたちが、青が高濃度になっているのに気が付きました。
Glycolysisと書いてありますが、この代謝経路は解糖系に関わる経路なのです。
この経路の各成分をじっくり確認してみると、
その殆どが、統計学的に有意に無菌マウスの方が高い濃度だったのです。
解糖系とはグルコースがピルビン酸に変換されていく過程でエネルギーが作られる経路です。
高校の生物の授業で習うと思います。
わからん方は、「ブドウ糖(グルコース)からエネルギーを作る経路」ってイメージで良いと思います。

つまり、腸内細菌が棲息しているマウスは無菌マウスと比べ、
脳内の解糖系の代謝の中間物質の濃度が低かったということです。

この現象から考えられる事は以下の2つ。
①腸内細菌がいるマウスは、解糖系が活発に動いていないので、この経路の物質量が少ない。
②腸内細菌がいるマウスは、解糖系が活発に動いているので、消費されてこの経路の物質量が少ない。

正反対の考え方です。
仕方ないので、この反応に関連する酵素の発現を調べてみました。
その結果、両グループ間で差がありませんでした。
つまり、同じように産生されているということです。
今の所、我々は、同じように代謝されているのに量が少ないということは、
それらの物質が消費されていると解釈し、
腸内細菌がいることで無菌マウスに比べ脳が活発に活動していると推測しています。
まだまだ研究が必要ですが。

腸内細菌が脳のエネルギー代謝に影響を与えていることだけは間違いありません。

まだ色々ありますが、疲れたので論文解説ブログは今日で終わります。

前の記事< | トップへ戻る | >次の記事