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LKM512
メイトー
協同乳業研究所

11/05
無酸素状態

今日は、我々にとっては当たり前、でも、あまり知られていないことを紹介。

「大腸の中は無酸素状態です」

ご存知でしたか?
一般の方の前で話すと、知っていたような、知らなかったような、
中途半端な反応や顔をされます。
少なくとも自分達にとっては「どうでもよい、関係ない」という反応です。
ですが、我々、腸内細菌の研究者にとっては大事なことです。

酸素が無い環境で棲息している腸内常在菌の殆どは、
酸素を嫌う(=酸素があったら生きていけない)菌なのです。
専門用語では、このような菌を嫌気性菌(ケンキセイキン)呼びます。

ですから、研究で生きた菌が必要な場合は、
排便直後にウンコが入った容器の中の酸素を極力抜いて輸送しなくてはなりません。
こうすれば、少々空気に触れても大丈夫な嫌気性菌は問題なく生きています。
ビフィズス菌もその一つです。

この酸素抜き、技術が進歩して、今では市販の脱酸素剤を使えば、
容器内の殆どの酸素は取り除くことができ、汎用されています。

しかし、このやり方では、本当に酸素に弱い菌は死んでしまうといわれています。
排便後、数分間は酸素に触れてしまうことと、
僅かに除去しきれない酸素が残っているためです。
未だに6~8割の腸内細菌は培養できない未知のもので、
これがその原因の一つでしょう。

これをクリアするためには、
嫌気状態の装置(嫌気チャンバー)にお尻を突っ込んで排便するしかないでしょうね。
誰もがわかっていて、おそらく技術的に可能でしょうが、
未だにこの方法でウンコを回収している人がいるという話は聞いたことがありません。
さすがに私でも、実験台での尻丸出し排便には抵抗がありますからね。

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