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メイトー
協同乳業研究所

04/23
ヒシバッタ黒紋型の私なりの考察

先週紹介したヒシバッタの黒紋に関する論文ですが、
私の意見は著者と違いますので、ちょっと書かせて頂きます。

変温動物では、体色は体温調節に関与し、
黒っぽいほど体温上昇を促進するといわれており、
この論文では体温調節説の検証として、採集地の緯度で黒紋型の頻度を比較しています。

その結果、オスでは高緯度地方ほど黒紋型頻度が高くなることがわかったそうです。
但し、北海道では例外的に黒紋頻度が低く、また、メスの殆どが黒紋型だったようです。

一通り読んだ限り(他に読む論文があるだろうと言われそうですが...)、
著者らは、夏場のオーバーヒート(体温上昇)のリスクとの関係を重視しており、
オスが夏場に暑い開けた草地で配偶者を探索するため、
暑い低緯度地域のオスは黒紋型の方がオーバーヒートし易く、
黒紋は不利に働き、熱い低緯度では数が少ないと考察しています。
一方で、体温調節だけでは説明がつかないので、
黒紋によるコントラストが周囲の環境に溶け込む隠ぺい効果があることから、
探索行動をしないメスは、この隠ぺい効果の方による利益がオーバーヒートのリスクより高いため、殆どが黒紋型であると考察しています。

ただ、私は、同じ体温調節説でも、黒紋を夏場のオーバーヒートのリスクではなく、
冬場の体温上昇のための利益と考えるほうが妥当ではないかと考えています。
このブログでも、真冬の1月の埼玉県の畑で発見したヒシバッタを紹介したように

(2012年1月17日「ヒシバッタ」ブログ参照)

このバッタが本州では真冬でも活動していることを考慮すれば、
冬の貴重な太陽熱の獲得に黒紋は役立っていると推測されます。
そう考えれば、著者らが説明できなかった北海道で黒紋頻度の低下も説明できます。

北海道では寒さが厳しく、さすがのヒシバッタも冬には活動していないはずですから、
冬に黒紋で太陽熱獲得の必要がないのです。
従って、夏場のオーバーヒートのリスクのみがあり、黒紋型の頻度が著しく低いのです。

どうですかね?
まあ、私は専門家ではないので、好き勝手な考察ですが...。

一昨日も畑でヒシバッタを発見しましたので、撮影しました!
極小の黒紋があり、黒紋型か無紋型か微妙ですね。


20120424.JPG

寒冷紗の中で、若い野菜を食べていたので、放り出しました。

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