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LKM512
メイトー
協同乳業研究所

03/06
先日の論文を解説します!(漢方薬活性型ビフィズス菌)①

「インフルエンザ予防にヨーグルトが効く」
流行っていますが、個人的には興味がありません。
おかげで、最近は一般の方向けに講演をすると、「LKM512はインフルエンザに効くのか?」という質問をよく受けます。
回答はシンプル、
「知りません。私はそんな実験やっていませんし、興味もありませんので。」

実は、私、こんな時代でも地道に"便秘解消"の研究の方が興味あります。
30年以上前から試されている、ある意味、超時代遅れのビフィズス菌の機能です。
2010年代に便秘解消に真剣に取り組んでいるビフィズス菌の研究者は稀でしょう。
しかし、私は、健康にとって一番大事なことは、大腸内で悪い代謝産物(腐敗産物)を長時間滞留させないことと信じています。
特に、入院患者の場合、運動不足と抗生物質の投与等で、重度の便秘症になるようです。
入院患者は当然、一般の生活をされている方でも、
飲み薬が効かなくなると、最終的には浣腸で強制的に排便させるのが現実です。

この飲み薬(下剤)に高い頻度で使われている漢方薬(生薬)があります。
その名は『大黄(ダイオウ)』。
あるいは大黄の有効成分『センノシド』という名の方が有名かもしれません。
便秘症の方は、何度か耳にしておられるのではないでしょうか?
一般の市販薬にも使われておりますので、実際に試された方も多いと思います。

この薬は、効く人と効かない人がいるのですが、その原因が腸内常在菌にあるのです。

つまり、センノシドを腸内で分解し、実際に腸の蠕動運動を活性化させる薬効成分「レインアンスロン」を作り出す役割を担っているのが腸内常在菌なのです。
もし、センノシドからレインアンスロンを産生できる腸内常在菌がいないと、
その人にはこの薬は効きません。
反対に、レインアンスロンを産生できる腸内常在菌がいれば、この薬は効きます。
「じゃ、少しでも多くの患者さんに効くようにしてやろうじゃないか!」
というのがこの論文(PLoS One 7: e31700)の背景です。
つづく。

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