07/05
ゴードン研究会議 ―脳ミソ整理編―

発表内容ではなく、研究ポリシーの攻防について書くことで
私の混乱しているウンコ色の脳ミソを整理したいと思います。

私が直接絡み名前が入った発表は3演題。
他にも、我々の生研センターの委託研究チームの発表は4演題あり、
合計7演題のポスター発表をしているのですから一大勢力です。

何故そこまで大々的にしたのか?
それは、ポリアミンに対する研究ポリシーが、他の大勢の研究者と異なるからです。
それは、昨年、国際ポリアミン学会で口頭発表に選ばれて話した時に、
結構否定されたため(激しい口撃を受け、撃沈寸前でした)、反撃の必要があったからです。

何度か書いていますが、ポリアミンは多くの機能を持っているのですが、
最も重要な作用の一つに細胞増殖作用があります。
体を構成している全ての細胞はポリアミンを合成し、増殖分化を繰り返し正常に機能しているのですが、老化に伴い細胞のポリアミンを合成する能力が衰えてくることで、色々と問題が発生してきます。
そこで、腸内細菌にポリアミンを作らせて、体中の細胞に供給しようというのが、
我々の目標で開発している技術です。
一方で、細胞増殖因子のため、ガン細胞も自らポリアミンを合成し成長します。
そのため、ポリアミンはガンを起こす因子であると考えている研究者が多いのです。
といいますか、多過ぎるのです。
でも、果たしてそれは本当か?
ポリアミン添加でガンが生じたという報告はないのですが、どう考えているのか?
正常細胞に対するポリアミンの正の作用に関してどのように考えているのか?

我々が異なるポリシーで複数の発表をすることで、彼らも黙ってはいられないでしょう。
生の反論を聞きたい。
それを尊重した上で、我々の考え方を伝えたい。
たとえ伝わらなくても、これからの取り組み方に活かしたい。
何より良いのは、ポスター発表なので下手な英語でも何とかなる。
(英語に堪能なメンバーも複数いましたので助けてもらえます。)

案の定、積極的に絡んでくる方は結構いました。
"ああいえばこういう"状態で、議論が噛み合わず怒り気味に去っていく方もいました。
しかし驚いたのは、我々は正常細胞をターゲットにしていることを理解すると、
意外と支持してくれる方が多かった点です。

最も印象に残っているのは、
ポリアミン抑制による大腸ガン治療効果について口頭発表した医者が、
「我々はガン治療の研究、ガンになるまではあなた方の仕事。
プロバイオティクスは興味深いね。」
と言われたことですかね。

まだまだ道は険しいですが、それなりの手応えと、
まだ多くの否定してくる研究者への反撃の実験系を色々考える1週間でした。

ちなみに、ポスター発表時はお酒が飲めて、
少し酔っ払って本音で議論できるのは素晴らしいと思いました。