04/26
メタボロミクス、ウンコロミクス・・・

メタボロミクス(Metabolomics)ってなんや?
という質問もあるので、もう一度簡単に説明。
1年半前にも簡単に紹介したのですが(http://lkm512-blog.com/2009/10/07/)、
一言で述べると、
『細胞や微生物が作る代謝産物を網羅的に調べる学問』
です。
これまで、アミノ酸ならアミノ酸だけ、短鎖脂肪酸なら短鎖脂肪酸だけを対象に前処理して調べていたものが、多くの成分をまとめて一度に測定できるのです。
代謝産物のことを英語でメタボライト(Metabolite)というのと、
網羅的に解析する学問の接尾語が○○オミクス(-omics)というのが合わさってできた造語です。
また、その代謝産物のかたまり(試料)をメタボローム(Metabolome)と言います。

より直接的な日本語では、『全代謝物解析』とでもいうのでしょうか。
最近、最もホットな研究手法の一つです。

ヒトやマウスの細胞や大腸菌なら、代謝経路がほぼ解明されているので、結果が意味している事が解釈し易いのですが、ウンコ由来のメタボローム解析は解釈が極めて難しいのです。
関連する要因が、何百種類もいる腸内細菌(これだけでも手強い)の他に、食物、腸上皮細胞(分泌と吸収がある)が加わるのです。
つまり、結果がこの三者の内、どれの影響を受けたのかが簡単にはわからないのです。

ということで、私は、この特殊な環境中の代謝産物を研究することとを、通常のメタボロミクスではなく、ウンコロミクスと提唱しておりました
(http://lkm512-blog.com/2009/10/07/)。
そして、関係者の間では実際に使ってきました。

ですが、先日のセミナー後の懇親会で、ウンコロミクスを世界基準にするためには、語源をウンコという日本語ではなく、きっちり英語をベースにする方が良いのではないかと意見を頂きました。
先のブログでもFecal(糞便の)を語源にFecalomicsも提唱していたのですが何かパッとしません。
ですが、ここで上がったのはインパクト抜群の、
『スカトロミクス(Scatolomics)!』
Scatology(糞便学)が語源です。

なんか生々しいですが、良いと思います。
でも、こんなの講演で話したら、また、聴衆の反応悪くなりそー。
そして私が別の意味でウンコ好きと思われそうで少し心配です。