02/08
植え継げませんよビフィズス菌は

講演などしていると時々こういう質問を受けます。
「市販ヨーグルトの一部を牛乳に入れて温めるとヨーグルトができるのですか?」
色々聞いていると、各人の知り合いに一人くらいはそういう方がいるようですね。

温度が適正で、環境中の雑菌が入っていなければ、殆どのヨーグルトはできると思います。

基本的に、ヨーグルトとは、
Lactobacillus delbrueckii subsp, bulgaricus (ラクトバチスル・デルブルエッキ 亜種 ブルガリカス)という乳酸菌と、
Streptococcus thermophilus(ストレプトコッカス・サーモフィラス)という乳酸菌の2種類で発酵させて作ったものをいいます。

味や風味が各メーカーのヨーグルトで異なるのは、これらの2種類の菌の性質が異なるためです。(香料を入れた商品も多いですが、プレーンでも乳酸菌の性質により異なります。)
酸味が強くなる菌株、マイルドになる菌株、粘性が出る菌株等、使い分けているのです。

ですから、この2種類の乳酸菌がきっちりと入っていれば家庭でもある程度のものができるのですが、何度か植え継ぎを繰り返せば、次第にバランスが崩れてくると思われます。
そうなると、味が変化し、発酵不良が起こるでしょう。
また、最初の添加量が少なかったり、乳酸菌に元気がなかったりすると、
発酵で乳酸が作られる前に、雑菌が増殖し、完成したのは腐敗乳というリスクも高いです。

このように、リスクはあるものの、ヨーグルトの植え継ぎができないことはないのですが、
ビフィズス菌は決して植え継げません。
ビフィズス菌は偏性嫌気性菌といって、酸素がある環境では生育できません。
さらに、酸にも非常に弱いです。
乳酸菌が作る乳酸も苦手なので、ヨーグルト中でも少しずつ数が減ってきます。
元来、動物の腸管内に生息している細菌です。
乳の中で進化してきた酪農用乳酸菌とは異なります。
各メーカー、選び抜いた菌を使っておりますが、それでも、牛乳の中で乳酸菌のように増えるビフィズス菌はありません。

「ビフィズス菌入りヨーグルトを植え継いでも、ビフィズス菌は増えない!」
豆知識として、是非、覚えておいて下さい。