06/28
パンダのひみつ2

前回の続きです。
さらに興味深いことに、
ジャイアントパンダは、肉類を消化する遺伝子は全て持っているそうです。
そういえば、クマ科ですからね。

では、なぜ、肉食性ではないのか?

肉を食べて美味しいと感じるのは、肉のうま味を感じとるからです。
うま味成分とは、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸などのアミノ酸や、イノシン酸やグアニル酸などの核酸が知られていますので、これら成分を感じとるということです。
また、刺激や情報を感じ取る(受け取る)部分を受容体(英語ではレセプター)と言います。
すなわち、肉を食べて美味しいと感じるのは、うま味成分の受容体がうま味の刺激を感知し、その情報が伝達され、脳が「美味しい!」と感じるわけです。

遠回りしましたが、全遺伝子配列が解析された結果、
ジャイアントパンダは、うま味成分の受容体を作り出す遺伝子(T1R1遺伝子)が突然変異により機能を持たないことがわかったのです(専門用語では、このような不活性な遺伝子を"偽遺伝子"という)。
つまり、肉のうま味を感じないということです。

ですから、元来肉食性であったのでしょうが、肉に執念はなく、近くにたくさん生えている竹や笹を好んで食べるようになったと推測されています。

うーん、受容体に関連する遺伝子が変異すれば好き嫌いなく食べられるということですね。
たとえ、ウンコでも。
つまり、あの臭いを感知する受容体さえ欠損すれば...。
久しぶりに知的な科学的なブログを書いたのに、台無しになるところでした。
ここまで!